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予期せぬ出来事 3
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「和希くん、突然どうしたの?」
お隣に住んでいた和樹くんは、中学へ行く頃にお父さんの都合で隣の県へと引っ越したと聞いていた。そんな彼が、突然ここにやってきたのだから驚く。
和樹くんは、ニッと笑って言った。
「また、隣に引っ越すのさ。」
「え? なんで?」
「実は、大学がここからの方が近いんだよ。まえに住んでいた家も、まだ売っていなかったし。だから、今日からここで暮らすのさ。」
「へー、ここを一人暮らしって贅沢だね。」
「まあな。でも、一人じゃ寂しいかもしれねーから、いつでもお邪魔してくれよな。そんときゃ一緒に遊んでやるから。」
無邪気に笑う姿は、昔も今も変わらない。兄のように慕ってきた存在が、ここにいる。
* * *
「そっか、和希くんが戻ってくるのね。」
食卓で、和希くんの話をすればぱあっと明るい表情になる母親。
「まあね。」
「父さん、和樹くんって誰?」
その中で、ひとり話題についていけていない弟。
「ああ、お前はまだ幼かったからな。知らなくて当然か。昔隣の家に住んでた人だよ。」
父さんが優しく笑いながら弟にそう教えていた。
「そうそう、小学生のころは可愛かったわ。頭も良くてねーこれでアンタの赤点祭りともおさらばかしら。」
ふふふと笑う姿を見て、俺は牧野の姿を思い浮かべてしまった。
和希くんがいなくても、俺には牧野っていう心強い味方がいるんだけどな。
「それで、和希くんって人頭いいの?」
以外にも、弟が話に食いついてきた。
「うん、教師目指してるからな。俺も昔いろいろ教えてもたってたけど、わかりやすかったぜ?」
「へーそうなんだ。じゃ、俺もわからないことがあったら教えてもらいに行こうかな。」
「おう、そんときゃ一緒に行こうか! 我が弟よ!」
「ついでに、ご飯とかもおすそ分け用に用意しとくわね。」
「翔、架、母さん。あまり、迷惑をかけるなよ。」
呑気に笑い合う家族。
まあ、一応明日のテストについては牧野に教わったから大丈夫だろうし、今日は早く寝よう。一日の全てを終わらせて、あとはもう寝るだけになった俺。ベッドに腰掛けて、布団に入ろうとしたその時、携帯のランプが点滅しているのに気づいた。
”勉強お疲れ。テストが全て終わったら、二人で何処かへ行かないか?”
牧野から、メールが来ていた。
うわ、どうしよう。
さっきまでの眠気はどこかへ飛んでいってしまった。
ドキドキする。
メールの文字を見ただけだというのに。
”そうだな。”
と返事を打てば、直ぐに返事が帰ってきた。見てみれば、
”そのためには、赤点を採るなよ。”と書いてあった。
慌てて直ぐに、勉強机へ座って昨日まで一緒にしていた内容を復習してしまう自分がいた。
「はは、すげーや牧野は。」
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