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アンタと俺
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「さ、お昼ご飯食べ行こう。」
どうしてお前は、俺と昼食をとるのがあたかも普通かのように話している?
「あ、もしかして今日はお弁当持ってきたとか?」
無言の俺を相手に、話す日坂。
虚しくはないのだろうか?
日坂には悪いが、ご飯を食べる時くらいはゆっくりとしていたい。俺は、何も言わずに財布を握り席を立つ。
「あ、弁当じゃなかったんだ。よかった。」
気づけよ。俺が嫌がってんの。
俺は、まともに日坂と会話をしたことがない。それどころか、日坂の問いに答えることも反応をすることもほとんどない。それなのに、コイツは毎日俺の元にやってくる。
朝も昼も放課後も……
昼はこうやって、俺が売店の横の机へとご飯を食べに行くのについてきては、一緒にご飯を食べたがる。そして、俺の昼食タイムを邪魔する。
「あのさ、日暮さん知ってる?」
無視して鯖の塩焼きを食べる。
「隣のクラスの派手じゃない……ちょっと地味な子なんだけどさ、今日俺のところに来たからなんだろうと思って。」
どうせ告白だろ? お前はモテるし。
「日暮さん、牧野のことが気になってるらしいよ。」
「は?!」
「あ、漸くこっち向いてくれた。」
しまった。これはコイツの罠か? 鯖に目を移すも遅く。日坂に目をガッチリと見られる。
「目。」
「?」
「目、綺麗だよな。」
「は?」
「牧野の、目。」
何言ってんだこいつ?
「日暮さん、俺、知らないし。そいう言うの興味ない。」
「え?」
「……何でそんなに嬉しそうなんだよ。」
「いや、初めて話してくれたような気がしたから。」
「それはお前が勝手にペラペラと喋ってるからだろう。」
「あ、ごめん。」
「別に。」
謝られても困る。
俺は一通り食べ終わったため、箸を置く。それを見た日坂が残ってたご飯を急いで書き込み始める。多分、いつも俺がコイツを待たずに教室に戻るからだろう。
「そんなに急いで食わなくても、待っててやる。」
「え。」
今日は気分的に、待っててやってもいい気分だった。
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