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今日が明日に変わって明日が今日に変わった
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「おはよう。」
「おはよう。」
驚いた。
昨日の今日、俺は朝早くに学校に来た訳だ。そして、やっぱり一番乗りをしていた牧野に挨拶をしたのだ。
そこまではいつも通り。
そこまでは、何も変わらない。
のだが……
「どうした。早く座ればいいじゃないか。」
いつまでも座ろうとしない俺を変に感じたのか、首をかしげながら俺を見てくる牧野。
これは、夢じゃないのか?
俺は、頬をつねる。
「痛い。」
「いきなり、何をしている。」
呆れながらも笑っているその表情を見て、俺は思った。
いや、これは痛みを感じる最新式の夢だ! と。
いつもだったら、挨拶をしてもチラリと俺を見たあとに本へと視線を戻すのが牧野だ。それなのに、今日と来たら、俺に挨拶を返した。そして、俺を見ている。座れとまで言った。会話をしている!
いったいどういうことだ!!
未だ立ち尽くす俺を見て、諦めたように本へと視線を移し始めた牧野。
え? 諦める? 何に? 俺と会話をすることに?! そんなまさか!!
って、いやいやいや! 本に視線を戻し始めたよ? ダメじゃん! いつも通りじゃん!
俺は急いで牧野の前の椅子に座った。すると、牧野は読んでいた本に栞を挟みだした。
「ま、牧野。」
ゴクリとつばを飲んで牧野を見ると、きょとんとされた。
「どうした、日坂。」
「お前、今日どうしたんだよ。」
「何が、どうしたって?」
「いや、いつもなら俺のこと無視して本を読むじゃん。」
「それは……」
ポリポリと頭を掻きながら牧野は言った。
「今日の気分だ。」
気分って……
「え、牧野ってそういう奴だったの?」
俺がそう問いかけると、ため息をしてぼそりと言った。
「友達。」
「え?」
「友達になってやる。」
「え?」
俺は自分の耳を疑った。
今、なんて?
「同じことを二度言わせるな。」
顔を真っ赤にした牧野が恥らいながらまた言った。
「お前、昨日俺と友達になりたいって言っていただろう。」
「ああ。って……え!!」
「なってやるよ、友達に。」
照れながら言う牧野に、不覚にも可愛いと思ってしまった俺は牧野に抱きついてしまった。
「ありがとう! ありがとう牧野!!」
「ちょっと! 離せ!! 苦しい!!」
抱きついてわかったのは、やっぱり俺なんかよりも逞しい体をしてやがるなってことだけだった。あと、力が強いとこ。
直ぐに引き剥がされた。
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