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今日が明日に変わって明日が今日に変わった 2
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「日坂、抱きつくな。」
直ぐに逞しい腕によって俺は離されたしまった。牧野の顔が近くで見えるようになったのだが、俺はさらに驚いた。牧野は、顔を赤らめて目をそらしていたのだ。さっきから照れている顔を見ているが、こんな表情を見れるのはとても珍しいことだと思う。今日の俺はついている。
固まってしまった俺を不審に思ったのか、そらしていた目をこちらに向けて怪訝そうな表情になっている牧野。
「あ、ごめん。牧野。俺、嬉しくてつい。」
あははと笑って見せれば、呆れたようにため息をついたあと牧野は微笑んだ。
「日坂らしいな。」
本当に、ついている。
「あ、あのさ。」
「なんだ?」
綺麗な笑顔を見ていたら、緊張してきた。牧野とこんな風に面と向かって話すことなんて今までなかったから、こっちが照れる。
「お友達になってくれるんなら、今日から一緒に帰らない?」
俺は、勇気を絞り出して牧野を誘った。
なんて返事が来るんだろうか。
目の前で考え始めた牧野を見て、断りを入れられるんだろうなとか、嫌な顔をされたらどうしようとかそんなことばかりが頭の中に浮かんでは消えていった。
「いいよ。」
え?
「アホ面だぞ。」
俺のリアクションを見て牧野は笑った。
俺はといえば、普通にいいよと返されたことに気が抜けてしまっていた。
「それより、日坂。」
「へ?」
「帰り道って一緒なのか?」
「あ……」
正直言って、俺と牧野の帰り道はほとんど違っていた。というか、正反対だ。俺は苦笑いを浮かべてごまかす。
「あの公園の近くだよ俺ん家。」
本当は、公園の近くには俺の家はない。ただ、そこには牧野の家があるのだ。牧野は一瞬目を見開いた。そして、目を細めて笑顔になる。
「そうなのか、俺の家もその近くだ。気づかなかった。」
嬉しそうな牧野を見て、今度から遠回りしてでも一緒に帰ろうと決心した俺だった。
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