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危機 2
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牧野の方を見ると、痛そうに腰をさすっていた。その隙に逃げようとしたのだが、すぐこちらを見られてしまったのでそれもできなかった。
「おおおおおおはよう! 牧野! す、清々しい朝だよな! な?!」
俺は焦りながら牧野にそう声をかけた。牧野は何が何だかわからないとでも言いたそうな顔だった。
困惑、してる?
「あ、ああ。おはよう。」
戸惑いながらも牧野は俺に挨拶を返してくれた。そして、いつまでもその場で転けたままの体勢でいる俺に、立ち上がった牧野が手を差し伸べてくれた。
「牧野って、いいやつ!」
「あ、ああ……」
俺はその手を両手で握りしめて立ち上がった。
「日坂。」
下駄箱までたどり着くと、牧野は俺の方を向いて口を開いた。
「何?」
「お前、なんで反対側から走ってきたの?」
「あ……」
すっかりそのことを忘れていた俺は背中に冷や汗をかいた。
なんて言い訳しようか……
「猫!」
俺はとっさに思いついた嘘でごまかすことにした。
「は?」
「猫だよ! 俺、猫が大好きすぎてさ。さっきも朝早くに登校して正門を通ろうとしたら向こうの奥の方に子猫が通ったのが見えたんだ。それで、その子猫を走って追っていったら大分奥の方まで行っちゃってな。あはははははは!」
俺が勢いと笑いでごまかしてそう言うと、牧野は穏やかに笑った。
あ、まただ。
「俺も、猫が好きだ。」
牧野が笑うと、俺の心臓がトクンと高鳴る。
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