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危機 10
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朝のホームルーム開始前の予鈴が鳴り響く。
俺の視界に今映っているのは、真っ青な高い空と逆光で表情があまり見えない明だけ。それ以外は何もない。
「明?」
「あ、困ってる時もだな。お前が笑うの。」
漸く目が慣れてきたせいか、明の顔が見えるようになる。心なしか楽しそうに見える。
「あのさ、降りてよ。」
「嫌だ。」
明が、俺を押し倒してそのままの体勢がずっと続いている。押し倒されたから、一発ぶん殴られるのかなとか思ったが、そんなことは無い。何も無い。
「明、重い。」
「知ってる。」
俺の上にまたがっている明は、俺の体の自由を奪うだけではなく腕の自由までも奪っている。
しばらく黙っていると、明の右手が離れたので腕が自由になったと思ったら直ぐに左手のみで俺の両手が拘束される。
「ねえ。」
そう問いかける明の目は鋭く光っていて、さっき離れていった右手は俺の頬を撫でる。
「なんだよ。」
「お前を、俺に頂戴。」
ギラつく瞳から逃れられない。頬から、唇に移った手。愛おしそうに俺の唇をなぞるように撫でる。
そんなに唇を触られていては、話すことさえも出来ない。
「ねえ、頂戴。」
迫る明の顔。
嫌だ。
「日坂、好きだ。」
迫る、唇。
嫌だ。
俺は今、友達に唇を奪われてしまいそうな窮地に追い込まれている。そんな中、ふと浮かんだ人物はただひとり。
助けて……
心の中で叫ぶも、アイツが授業をサボるはずがないということを知っている俺は、半分諦めかけていた。
もう、感じる。明の吐息。明の体温。
信じたくなくて、目を瞑る。
でも、嫌だ。
嫌なんだ。
「うおっ!」
明の驚く声が聞こえたかと思ったら、俺の上にあった明の重みが消えていた。俺は何がなんだかわからなくて、瞼を開いて周りを見る。
そこにいた人物を見て、俺は思わず涙が出た。
「ま、きの……」
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