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お宅訪問
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「えっと……」
「どうした日坂、入れよ。」
「う、うん。」
牧野に「俺の家に来い。」と誘われた俺は、牧野の家に来たわけだが……
「あ、あのさ、牧野。」
「何だ?」
「もしかして、だけどさ……」
玄関には靴が一足もない。ここから見える部屋には電気がついていない。音もない。
っていうか……
「誰かいないの?!」
あたふたしながら牧野にそう訊ねれば、無表情に「そうだが。」と言われてしまった。
え?
さらりと?
「ああ、日坂には言ってなかったが、俺の家は両親とも共働きなんだ。しかも、二人共夜遅くに帰ってくるから、22時くらいまで俺一人しかいない。」
「そ、そうなんだ……。きょ、兄弟とかは?」
「兄弟? いたら楽しいんだろうな。けれども、現実、俺は一人っ子だ。」
もはや、返す言葉がなかった。
冗談じゃない!!
いくら喧嘩から仲直りできたとして、俺が牧野の気持ちを受け入れたとしてもだ。突然恋人の家にお邪魔するとか、しかもその家に二人っきりだとか、誰が想像する? 少なくとも俺はしねーよ!!
「どうした、日坂?」
「どうしたって……いや、なんでもないよ。お、お邪魔します。」
俺は牧野に促されるまま靴を脱いで上がった。その様子を見ていた牧野が、心なしかホッとした表情をしたように見えた。
「さ、上がって。俺の部屋は、二階の一番奥にあるから。」
「え、ああ。牧野も一緒に上がるんじゃないのか?」
「俺は、お茶とってくるから。先に行ってて。」
「えっと、ありがとう。」
「……。ああ。」
なぜか、牧野は急ぎ足で一階の奥へと消えていった。
俺はとりあえず、二階に登って一番奥にある部屋の扉を開けた。
「失礼します。」
牧野の部屋は、本がたくさんあった。沢山ありすぎて、騒然としている。
意外だな……牧野、几帳面そうなのに。
目の前にはそこら辺に積み上がられている本が俺の行く手を阻んでいた。
「よっと。」
大股でそこを超える。すぐ近くに本が積み上げられている机が見えたので、そのすぐそばにあるスペースに座って牧野を待つことにした。
それにしても、牧野はどうやってこの部屋に入るんだろうか。さっきの俺みたいに、大股でそこにある積み上げられた本たちをまたぐのだろうか。
そんな想像をしていると、おかしくて笑ってしまった。
「何を笑っている。」
「うわ!! 来てたの?!」
いつの間にかお茶を持ってきた牧野が俺の目の前にいた。
え? あれ?
俺は想像していたシーンを見逃していた。
牧野はというと、俺が部屋で一人笑っていたのが気に食わないのか、眉間にしわを寄せている。
「あっと、別に牧野で笑ってたわけじゃないから! 思い出し笑いだよ。」
笑ってごまかすも、更に不機嫌そうな表情をされた。
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