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お宅訪問 5
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近づいてくる牧野。何事かと思ったら、俺の目の前に顔を寄せて言う。
「そうか。……じゃ、遠慮なく。」
「え……?」
牧野は俺の唇に目をやり、近づく。
えっと、あれ?
あれ?
「ちょっと牧野! 違うだろ!」
ぐいっと近づく牧野を遠くへ押しやると、不機嫌そうに「何が?」と問われる。
「いやいやいや、何をどうしたらこんな状況になるんだよ。」
「”俺の特別をあげる”そう言っただろう。」
「は?」
俺は固まった。
確かに言った。だが、どんな解釈してんだよ!!
ため息をつき、牧野を見る。
「牧野、俺はそう言う意味で言ったんじゃないよ。」
全く、どうしてそんな解釈をしてしまうかな。人が真剣に思いを伝えているってときに。
未だに理解ができていなさそうな牧野に付け加えて言った。
「俺は、もう、誰とでも仲良くなれる自分を捨てるって言う意味で言ったんだよ。」
「誰とでも仲良くなれる自分……」
「そう。牧野が俺の特別になるんだから。特別ができたら誰とでも平等には接せられないだろ? つまりは、そういうことだ。」
「そうか……」
やっと理解してくれたらしい。近づきすぎていた体はもとの距離に戻っていた。
「日坂。」
正座をした改まった姿で牧野は俺の名前を呼んだ。
「何?」
「俺の特別も、日坂にやる。」
そう言う牧野の顔は、とても穏やかで、綺麗だった。
「……うん。」
それ以降は、たわいもない話をしていたら日が暮れてしまったため、俺は牧野の家を出て自分の家へと帰宅する。
牧野の家に初めて行った日。
それは俺たちが恋人同士になった日となった。
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