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恋人…恋人…恋人っ?!
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朝早く、家を出て学校への道のりをぼんやり考え事をしながら歩く。
牧野と友達になりたいと思っていた俺。今となっては、それ以上の結果となった。俺と牧野は恋人になったのだ。しかし、男同士で恋人とはどうしたらいいものかよく分からない。
「一緒にご飯を食べて、一緒に帰る。牧野の家にも行った。……んー。女の子の場合は一緒に帰って、ゲーセンよってプリクラ撮ったり遊んだり、家に行ってそのまま……」
考えて顔が熱くなった。だって、女の子と付き合った時と同じことを牧野とやるということを想像してしまったからだ。それはつまり、牧野と……。
だが、それには問題があった。
「想像が、できねー!」
そう、未知の世界過ぎてどうしたらいいのか分からないのだ。一人頭を抱えて歩いていると、いつの間にか校門にたどり着いていたらしい。向かい側からは牧野の姿が見える。
「あ」
「あ」
二人揃って、お互いへの第一声が「あ」だった。
会いたいとは思うものの、いざ会うとしまったという思いが出てきてしまう。牧野の顔を見れば、若干眠たそうな顔をしているのに気づいた。
「牧野、おはよう。なんか、眠そうだな。」
「おはよう。ああ、ちょっとな。」
牧野が俺の前を通り過ぎて学校の中へと入っていくものだから、俺もそのあとを急いで追う。
「夕べ、眠れなかったのか?」
背中しか見せてくれない牧野にそう訊ねると急に歩を止められた。
誰もいない下駄箱。
あと10分くらいしたら、ポツポツと生徒が来はじめるだろうそこで、牧野は俺の方を振り向いて言った。
「お前のこと、考えていた。」
一瞬。ほんの一瞬。時間が止まったかと思った。だって、牧野が柄にもなくさらりと恥ずかしい言葉をいうものだから。俺はその言葉が牧野から発せられたものなのかということも疑ってしまった。何も言えなくて、ただ上履きを片方だけ履いている状態で固まっている俺。
最初に動き出したのは牧野だった。また前の方に向き直して、教室へと歩き始める。俺も、ハッと我に返り、上履きを両方履いてから教室を目指した。
お前のこと、考えてた。って、どういうことだよ。何でああもさらりと言えるんだよ。
頭の中でぐるぐると回るさっきの言葉。あまりにも考えすぎて、俺は階段を踏み外してしまったらしい。いつの間にか体が後ろへと傾いていて、気づいた時にはその体勢を整えるということができないでいた。
ああ、落ちる。
そう思っていたのに、衝撃もなにも無かったのは、俺に気づいた牧野が直ぐに俺の手を上から引っ張ってくれたからで、その力によって俺は元の体勢に戻れたのだ。
どきどきした。
冷や汗も出た。
でも、それよりも、牧野に握られたままの片手が熱い。
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