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恋人…恋人…恋人っ?! 2
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体を硬直させ、口だけがなんの音も発さずにパクパクと動く。そんな俺を見かねたのか、牧野はため息を一つ吐くと、手を握ったまま階段を上り始めた。
「まき……の?」
引っ張られるように俺もそのあとを続く。俺よりも上の段を登る牧野の存在は大きく見える。
「お前、危なっかしいから。」
ぶっきらぼうにその一言だけを添えて、俺の方を見るわけでもなく淡々と階段を上っていく。ただ、俺を握っているその手にギュッと力がこもったのだけは分かった。
永遠と階段が続いていれば、ずっとこのままでいられるのに。誰も来なければ、牧野と手を繋いでいられるのに。そんな思いばかりが頭の中を掠める。だが、そんなことは現実にありえっこない。直ぐに俺たちの教室のある階へと到着してしまった。と、同時に、牧野の手も俺の手から離れてしまった。途端に、消えてしまった牧野の温かみを目で追ってしまう。
「日坂?」
足を止めてただ立っているだけの俺を不審に思ったのか、眉根を寄せてこちらを見てくる牧野。俺は作り笑顔になって、なんでもないよと告げた。そう言えば、牧野は安心したのか笑顔になって歩を進めた。
牧野は何でああも冷静で入れるのだろう。俺よりも大人で、かっこよくて……
同じ男で、同じ歳だというのに、どこか劣等感を感じてしまった。
教室には誰もいなかった。というか、いたら褒めてやりたいくらいだ。誰が好きでこんなに朝早く登校してくる奴がいるだろうか。そんなの、牧野くらいだ。俺だって牧野に会いたくてきているのだから、牧野が朝早くに来ないのならばいつも通りギリギリに来ていただろう。お互い流れるように席に着く。もちろん、俺は牧野の前の席に座る。
キラキラと朝日を体に浴びている牧野は、黒髪が艶やかに光って、その色白な肌の透明感を更に際立たせる。そして、血色のいい唇。椅子に座って荷物を引き出しに入れているだけなのに、その姿が様になっていて見蕩れてしまう。
「どうした?」
またもや俺は自分の世界に入ってしまっていたようだ。おしゃべりな俺は、頭の中でもおしゃべりだと自覚してしまう。そんな自分に苦笑しながらも、牧野に触れたいという衝動に駆られていた俺は、自然に手を牧野の頬に添えた。牧野は一瞬戸惑ったような表情になるが、フッと笑を漏らしたあと、その手に手を添えてくれた。
「日坂の手、冷たいな。」
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