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経験値の低さ
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頬が、熱い。
抱きしめられている。
俺は嬉しさとか感動とかで震えている手を牧野の背中に回した。
「牧野……」
もうちょっと、お前とこうしてくっついていたい。
あと少し、お前を感じていたい。
匂い、体温、心音……
落ち着く。
俺だって、同じだ。
お前だけがそうだと思っているのなら大間違いだ。
「俺だって、日に日に牧野の事が好きになってんだ。お前だけじゃねえよ。」
そう言ってやれば、くすりと笑われた。
「不思議だ。」
「何が?」
「日坂とこうしていると、不安だったことも全て忘れられる。」
牧野は普段無口なのに、こういう時は出し惜しみせずに自分の気持ちをストレートに伝えてくる。
俺は普段おしゃべりなのに、こういう時は恥ずかしくてあまり話せない。
もどかしい。
牧野の気持ちを伝えてもらってニヤついていると、いきなり牧野から引き剥がされる。
目と目が、かち合う。
キスかな?
バクバクとなる心臓。
「日坂、お願いがある。」
真剣な眼差し。何だろう、キスならお願いしなくてもいいのに。それとも、その先とか……?
勝手に一人で頬を赤くしていると、牧野が不思議な表情になる。恥ずかしさを紛らわせるため、牧野に言う。
「な、何だよ。お願いって。」
ぐっと引き寄せられたかと思うと、何かを決心したようにゴクリと唾を飲む音が聞こえた。
来る!
目をギュッと瞑る。
心の準備をしないと!!
牧野が息を吸う音が聞こえる。
そして、言われたのは……
「お前の、連絡先を、教えてくれ!」
「うん!」
って……え?
連絡先?!
そんなことを言うために?!
「何なんだよその溜は!! 紛らわしいわ!! 連絡先くらい普通に聞け!!」
期待が外れただけでなく、そんなしょうもないことを言うためにあんな空気を作った牧野に怒りがこみ上げた。
全く! 人が本気で心の準備までしていたというのに!!
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