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経験値の低さ 3
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牧野の家から帰ってきた頃には夕飯の時間になっていた。俺は急いで部屋に入り制服からジャージへと着替える。食卓へ向かおうと扉に手をかけたところで、携帯が震える音がした。
「もしかして。」
急いで携帯が入っているカバンの方へと走る。カバンから取り出して画面を見ると、案の定牧野の名前が載っていた。携帯の使い方を教えた甲斐があったな、なんて頬を緩ませてメールを開く。
開いた瞬間、笑ってしまった。
”今日はありがとう。また明日の朝会えるといいな。”
牧野らしい質素なメール。絵文字なんてもってのほか、改行すらされていない文面。
俺はにやけながら返事をして、部屋を出た。
食卓に着くと、先に座って待っていた弟から「何ニヤついてんの? 兄ちゃんキモい。」と言われたが、そんなの気にしない。だって、牧野からメールが来たんだから。それも明日の朝会えるといいなとか!! 一人盛り上がっていると、母さんが「あら? もしかして、あんたにもようやく春が来たのかしら?」なんて茶化してきた。
「へへっ」と自慢気に微笑むと、怪訝な顔をされた。どうやら、本気で言っていたつもりではなかったらしい。
「まあいいけど、あんた、今度のテストは赤点取らないでよね?」
すべての料理を食卓に並べ追えた母さんが呆れ顔でそういった。
しまった。
忘れていた。
二週間後には、テストがあるんだった!!
脳内がお花畑になっていた俺は、一気に現実に引き戻されてしまう。それとともに、すぐに浮かんだ牧野の顔。
そうだ!! 牧野だ!!
牧野に教えてもらおう!!!
我ながら得策だと思った。そして、またすぐ頬が緩んだ。
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