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お泊り
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「取り敢えず、風呂に入ってこい。」
一旦勉強道具を片付けた牧野が俺にそう言って部屋を出るように促した。
「脱衣所と風呂はここで、ここにあるタオルは好きに使え。服は、俺のスウェット貸すからこれを着ろ。風呂の中だけど――」
牧野があれこれ風呂の使い方などを教えてくれる。その姿を見て、面倒見がいい奴だなと思った。
「――聞いているのか、日坂。」
「え?」
「だから、このシャンプーとコンディショナーは使ったらダメだ。下にあるやつを使え。」
「あ、うん。」
「これ、母親のだから使ったらすごく怒られるんだ。頼んだぞ?」
牧野が眉を八の字にさせている。
「なに笑っている。」
「いいや、なんでも。」
牧野の母親ってどんな人なのかなとか、やっぱり母親の権力は牧野家でも最高位なんだなとか考えて思わず顔がニヤついていたらしい。俺は急いで真剣な表情になる。怪訝そうに俺を見ながら、牧野は風呂場から立ち去った。
指定された場所に脱いだ服を入れて、俺は風呂場に入る。シャワーの蛇口を捻れば直ぐに温かいお湯が出てきた。
勉強で積もった疲労感があった体も、温かいお湯によって癒されていく。
ふと、シャンプーで髪を洗っている時に思った。
――牧野の、匂い。
あいつが俺の横を通るとき、あいつが俺を抱きしめているとき、そんな時に香るのはこのシャンプーと同じ匂いだ。意識をしてしまうと途端にドキドキしてしまう。
牧野のうなじ。
牧野の唇。
牧野の……
「ああああああああ!」
悶えながら必死で泡を落とした。
今日はそんなあいつと同じ屋根の下……っていうか、同じ部屋で一夜を明かす。例えそれが俺の大ッ嫌いな勉強だとしても、それって、あれだよな。
お泊りデート。
Buuuuuuu!
ドクドクと鼻から出る血。
俺、いつから変態になったんだろうか。
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