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お泊り 4 (R15だと……思います)
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何かにぶつかって、霞んだ視界から音のした方を見ると、今度はペットボトルが倒れていた。しかも、キャップはさっき俺に注ぐときに外してあったから今はトクトクと水が勢い良く流れ出ている。目で牧野の方に訴えるが、牧野はキスに夢中だった。声を出そうにも、このままだと無理だ。俺は急いで牧野の背中をぺしぺしと叩いた。
「んっ! んっ!」
必死で訴えているにもかかわらず、キスはやまない。それどころか、牧野が俺の頭を鷲掴みしてグシャグシャにしながらキスを続ける。
ちょっ! 水! 布団がジュクジュクに濡れてるって!!
今日の夜は濡れた布団で頑張って寝るハメになりそうだ。なんて、諦めかけたその時、漸く牧野の目がそちらの方をぎょろりと見た。やっと気づいてくれた! と思った俺は唇が離れていくのを期待した。だが……あれ?
「うっん! ふぁっ」
深い深いキスはそれでも止まらない。混ざり合う吐息。収まりきれない唾液が口の端から溢れ出る。もういい、どうにでもなれと、牧野の背中を叩くのをやめてしがみついた。
気持い。
しがみついていた手も力をなくしてだらりと垂れたとき、漸く唇が離れた。つうっっと唾液が糸を引いてきれたのが見える。力もなく、声も出せない程に息を切らした俺は目の前にいる牧野をじっと見つめる。目の前の目は、熱に浮かれていた。多分、俺も同じ顔をしているんだろう。
お互い何も話せなくて、沈黙が続く。
俺の息が整った頃、牧野は倒れていたペットボトルを縦に置いた。
「あの時、直ぐに戻さないからだ。ほら見ろ。」
俺が眉根にしわを寄せながら濡れた布団にタオルを押し付けている牧野にそう言うと、無表情になってこちらを見てきた。
「あまりにも、気持ちがよかったからな。」
心臓が飛び跳ねた。
無表情でそんな事を牧野の口から聞く日が来ようとは……
「ばっかじゃねーの?」そう口にしてそっぽを向いてしまう。だって、恥ずかしいじゃん。
それでも、見るものがなくて直ぐにまた牧野の方を見る。相変わらず、どんな仕草も様になっている。動作が綺麗なんだ。
「びしょびしょだな……」
タオルでは乾ききれない布団を目にしている牧野。
「俺、これで寝るのか……」とため息をつくと、フッと笑う音が聞こえる。
「仕方がない。今日は一緒に寝よう。」
牧野の発言に思わず二度見した。
「何だ、嫌か?」
「い、嫌じゃないけどさ……」
「やはり、嫌なのだろう?」
寂しい目をする牧野。
断じて違う。嫌じゃない!
むしろ嬉しい。
嬉しいけど……
「…して…よ……ない……う」
ぼそりと言うと牧野が首をかしげた。
「だから、ドキドキして夜眠れないだろうって言ったんだよ。」
一瞬の間が空く。
やばい、さっきの聞いて男の癖して何考えてんだとか、気持ち悪いとか思われたかも……嫌われたかもとギュッと目を瞑る。
「お前、恥ずかしい奴だな。」
ぎょっとして牧野を見る。そこにあるのは無表情。え?なにそれ。一人心臓バクバク言わせていた俺がバカみたいじゃん。ていうか、俺が何かやましいこと考えてたみたいな感じになってる? なってるよね?
「もういい! ここで寝る!」
やけになって布団の乾いているところに寝そべる。上から降る視線が痛い。
「いいのか? せっかく温かいベッドで寝ることができるチャンスを今、お前は踏みにじっているんだぞ? 夜は冷えるぞ? ここ、絨毯は引いてあるがフローリングだしな。」
「ああもう! わかったよ! ベッドで寝ればいいんだろ? 寝れば!」
ガバっと起き上がって牧野を睨みつけると、余裕の笑をした牧野は言った。
「そう、それでいい。」と。
なんだかもう、牧野の性格がわからなくなってきた。
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