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お泊り 5
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牧野は今、風呂に入っている。
俺は今、牧野のベッドで寝転んでいる。
どうしてこのような状況に陥っているのか、分からない。
「あー、眠れねー。」
さっきから、もぞもぞと布団の中で何度も寝返りを打っている。その布団や枕から牧野の匂いがする。そればかりか、俺自身からも牧野の匂いがする。それはきっと、シャンプーのせい。嗅覚で牧野を思い出して、そこからさっきの行為を――牧野の唇の触感を思い出してしまう。
牧野早く風呂から帰ってこい。
いや、帰ってくるな。
ずっと頭の中でこの繰り返し。
果たして、俺は今日眠ることができるのだろうか?
ベッドも、シングルベッドのちょっと大きめ版。牧野自身が大きいから普通のシングルベッドじゃ狭いのだろう。ここに、男二人入るのかという疑問も湧く。だが、あまり深く考えると冷静でいられなくなりそうだったので考えることを放棄している。
キスをした。
それも、とびっきり深いやつ。
水がこぼれたのを無視したのは、なぜだろう。
―あまりにも、気持ちがよかったからな。―
あの時牧野はそう言った。でも、普通は直ぐにペットボトルを立てるだろう。布団って乾かすのにスゲー時間いるんだからな。弟が保育園児だったころに布団におねしょをしていた頃を思い出す……あの時は母さん、スッゲー困ってたもんな。
問題の布団はたたまれていて、水気のあるところはバスタオルで覆われている。残念なことに、枕もびしょ濡れになってそこに一緒に置かれてあった。今日は枕なしで寝ることになりそうだ。明日寝違えたりしないだろうか。……て言っても、これも牧野のせいだよな? ということは、この枕を俺が奪って、牧野が枕なしで寝るべきじゃね? 我ながらいいアイデアを思いついてしまった。
だが、問題がひとつあった。牧野に太刀打ちできないということだ。あいつは俺よりも頭の回転が早い。だから、口では勝てない。今日一緒にいて改めてそう思った。
俺は、強硬手段をとることにした。
「よし、寝たふりをして枕を奪おう。」
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