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高校2年男子の昼下がり。
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「お前、なんでそんなトコ怪我しちゃうわけ?」
後ろの席から卓人(たくと)が声をかけてくる。
弁当を平らげながら、はぁ?と振り返ると、箸を加えた卓人の手が僕の首の絆創膏へと伸びてきていて、ギョッとする。
「ちょっ、卓人やめろよ。ビビんだろ!」
咄嗟に彼の手をはたき落とすと、彼は痛そうに手をブラブラと振った。
「そんなお高そうな絆創膏貼っといて説明無しとか、気になってしょーが無ぇっての。」
加え箸をやめて最後の玉子焼きをブスリと刺して口に運ぶ卓人の頬が膨らんだ。
首の後ろに貼った絆創膏。学ランの襟で見えないと思って油断していたけど、暑いからって脱いでいたんだっけ。手で確認してみると、なるほど絆創膏の端がシャツから出ているようだ。
「で、何な訳?まさかキスマークとか?」
「誰のだよ。絶賛恋人募集中の僕にキスマークつけんのは。」
食べ終わった僕らは各々弁当箱を鞄に片付けながら、前後の席で話が続ける。
「そーいやぁ、お前、今日暇?」
「……コトによるわなぁ。」
なんだそりゃ、と言いながら卓人が財布から何やら取り出して見せてくる。
「カラオケタダ券を兄上にいただきました!」
ピラピラさせるものを受けとると、6時間歌い放題の文字。
「ぉお。創(はじめ)ちゃん、マジ神!」
ただなぁ…と、机に置いたタダ券の注意書を卓人が爪でトントンした。
「1ドリンク注文せにゃならんけども。」
「あー、なるほど。」
指先を少し移動させて、またトントンして見せた。
「しかも、期限今日まで。」
「ぅわっ。創ちゃん、小悪魔じゃ。」
「だろ?…で、行くか?」
僕の顔を覗きこむように見上げた卓人のニヤリと笑う顔に、ドキリとしながら答えた。
「イクイクっ。あーん…」
腕を体に巻き付けて身をよじりながら、卓人を見ると呆れたように頬杖をついていた。
「ヤメイ。キショイ。」
その卓人の腕を捕って、わざとらしく女みたいに上目づかいで高速瞬き。いつかみたAVのねぇちゃんみたいな声で、
「一緒にイこぉ~!」
ぁあ~ん!と調子にノッて言っていたら、たまたま目があった横山が笑いながら近寄ってきた。
「お前ら何イッてんの。」
卓人が左手でスッとチケットを隠したのが微かに見えて、僕は横山の顔を見ながら、高速瞬き上目づかいで人指し指を加えてみせた。
「横ちゃん、一人でイッちゃヤダァ。あぁ~ん!」
横山がバカ笑いしながら右隣の机に腰かけた。
卓人は何事も無かったかのように、僕たちを見ながら笑っていた。
「還(かん)ちゃんが卑猥だと、違和感半端ないょな。」
「だろ?この顔でアホって、もはや同情だよな。」
「まぁ、この顔で中身イケメンだったら嫌われるけどな。共学で王子は撲殺モノですよ。」
いじめないでぇ~、と僕が言うと調度チャイムが鳴り響いてお開きとなった。
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