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猶予9
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「....え?」
「だから、もしも、俺が、死んだら。」
何気なく尋ねられたその質問に俺は一瞬思考が止まった。
「や、やだなー。何言ってんの!ゆうが死ぬの?そんなのやだー!」
びっくりした。何気ない、よくある話なのに。それは俺にはもしもじゃなくて。
「お前、泣く?あ、ばかだけどさすがに後追いとかはしねーだろーな。」
「しないよ!ばかじゃないの!そもそも!ゆうは死なないの!」
「なんだよそれ。死ぬかもしんねーじゃん。わかんないよー明日のことなんて。」
「っ!し!死なないよ!ぜったい!もし万が一ゆうが先に死んだら、俺は泣いて泣いて脱水で死んじゃうかも。」
「うーん。お前やっぱばかだわ。」
「ひどい!ばかって!ひどい!」
俺は緊張しているのを悟られないように落ち着いて、ゆうに聞いた。
「...じゃあ、もし、俺が、死んだら、どうする?」
「お前が?お前はばかだから死なないよ。俺がお前死なすわけないじゃん。」
「あ、明日のことなんてわかんないよ!」
「ふっ、お前なんでそんな真剣なの?」
「い、良いじゃん!答えてよ!」
「んー。そうだなー。ま、指輪は外さないわな。んで毎月お墓行って話すよ。お前のことを忘れるなんてあり得ない。」
その答えを聞いた瞬間。
心から溢れだしたゆうへの想いは
俺の両目から流れ出た。
「はっ?また泣くの?なんで、どの部分で?お前の涙腺最近どーなってんだよ」
「知らないよーばかーうぅー」
はいはい、と言いながら抱きしめてくれて俺はずっと泣き続けた。
ゆうの、俺への、優しい愛に
ただただ泣き続けた。
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