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番外編:王子様の王子様2*【完】
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「突然で悪い。今日、合コンがあるらしいんだけど、大塚参加できねえ?園田が人探してて」
本当に突然のことで、頭が真っ白になった。けれど、この先二度と来ないであろうチャンスに気付き、即座にオーケーした。
でも、坂下はどうして僕に連絡を?園田くんが好きなんじゃないの?
坂下の意図がわからないけれど、せっかくのチャンスだし、友達くらいにはなれたら良いなと思った。もう少しだけでも話す機会が増えれば良いな、そう思っていただけなのに。
内に潜む欲望は、自覚していたよりも大きかった様だ。
「大塚くんって、今彼女いるの~?」
「いないよ」
「じゃあ、あたし立候補しちゃおっかなぁ?」
「あ、ずるーい!あたしもぉ!」
喜んで参加した合コンだったけれど、お目当ての園田くんの傍にはなかなか行けなかった。女の子に挟まれて相手をしている間に、ふと気付けば園田くんの顔色が若干悪くなっている。
ハッとしてテーブルを確認すると、ソフトドリンクに混じってアルコールの匂いがする。テーブルの下を見ると、ビニール袋に入った酒の空き缶。
誰かが持ち込んだものを、気付かずに飲んでしまったのか、園田くんは酔ってしまっている様だった。本人は酔っている自覚はなく、酒を飲んだ事にも気付いていない様子だけれど。
首を捻りながらも、飲み続ける園田くんが心配で、女の子達に断りを入れてから園田くんの隣りに座った。
「大丈夫?園田くん」
「ん~…?あえ?…きもち、わるい……」
「…トイレに行こうか」
このままではまずいと判断し、提案したのだけれど、園田くんは首を横に振った。そしてコテンと肩に頭を寄せると、甘えるように言う。
「それより、ふたりで抜けね?」
ちょっと舌足らず気味になった喋り方で、囁くように言われたら、僕に断る術は無い。
好きな人に誘われた興奮に、ツバを飲み込んだ。息が少し上がる。
動揺を周りに悟られないように、お金だけ置いて、出来るだけ自然に園田くんを連れ出した。
カラオケのパーティールームは大賑わいだ。アルコールも入っているし、居なくなった事も直ぐに忘れてしまうだろう。
外に出ると、もう薄暗くなっていた。
街中で僕の手を握ったままブンブンと振り回し、ケタケタと笑う園田くんが面白可愛い。緊張で冷たくなった僕の手とは違い、ちょっと高めの体温が心地良かった。
「園田くん、うちで少し休んでいったら?今日、誰も居ないんだ」
「ん、行っちゃおっかなァ」
この時、絶対に下心がなかったとは言えない。でも、部屋に入った途端、園田くんがキスなんてしてこなければ、もう少し僕の理性だって保ったはずだ。
もちろん、彼が僕を女の子と勘違いしてるのは気付いていたから、全面的に僕が悪いんだけど。
「ん…ふ、ぁ」
初めて好きな相手に触れることが出来た喜びは、相当のものだった。
女の子の様に柔らかくも、小さくもない身体。股間には熱く滾る男の象徴。
触れてみて、その熱を感じて、改めて自分は男性が好きなのだと再確認した。欲望が膨れあがる。
「ん…はぁ、気持ちいい?」
「ッ……、ん、いい」
我慢出来なくて、園田くんのモノを味わわせて貰った。
初めて口に含んだそれは、当然ながら美味しいとは言い難い味だったけれど、今まで感じたことがないほど興奮した。夢中になって吸い上げると、腰がビクッとして、口の中に温かい粘液が広がる。
これが…園田くんの味。苦いけれど愛しくて、口内に纏わり付くようなそれを、抵抗もなく飲み下した。
唇に付いたものも舌で舐めとり、園田くんの様子を窺うと、おねむな表情。
「園田くん?」
「ん、ごめ………」
ん、まで言えずにスヤスヤと眠りだした園田くんに、ちょっとだけ残念な気持ちになる。僕は、お預けかぁ…。
寝込みを襲わない代わりに、ちょっとだけ悪戯するくらいは許して欲しい。
無防備に眠ってしまった園田くんの服を脱がし自分も脱ぐと、ベッドへ潜り込んだ。ありがちな悪戯かもしれないけど、どんな反応するのか楽しみだ。
翌日、目覚めた園田くんの反応は、予想以上に可愛かった。
ほんの悪戯なのに、まさか疑いもしないなんて思わなかった。ただの悪戯だよ、と言わなければいけなかったのに、またとないチャンスに僕は……。
僕は本当に、狡くて酷い奴だ。
信じ切っているのを良いことに、僕は園田くんの恋人の座を手に入れた。もちろん、だからと言って無理にコトを進める気はない。
園田くんの心を手に入れるため、これからは誠実に頑張ろうと心に誓った。
……まぁ、その誓いも、長くは保たなかったのだけど…。
完
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