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俺からの条件 【影武者視点】
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俺は、黒子に裏切るように言った。
悪魔が悪くないことを、俺は知っている。
人間から見れば、鬼も悪魔も同じ。追い払いたい恐怖。
「お前は、間違っていない。悪魔と鬼が共に自由に暮らせる場所に行け。何なら俺が手引きしよう」
「え……は?」
戸惑う黒子。俺が影武者であることを知っているのは、緑間と黒子……そして、実渕だけ。
それが、嬉しかった。俺が、名前ですら俺の物じゃない俺が生きている事を実感できた。
だから、これは礼だ。お前をここから出したなら、俺は鬼として動く。
「火神に、手紙を出せ。俺が届ける」
黒子は迷って考え込んだ後、手紙を書いて渡した。
「キミは……どうして協力的なんですか?」
「……さあね。ただ、お前はきっと戻って来る。その時には征十郎を助けてくれ」
「ボクが、裏切ったのに戻って来ると思いますか?」
「戻るよ。お前は、この世界を見捨てられない」
そう言うと、黒子は苦笑した。
随分信頼されたものですね、と。
「なら、ボクが戻るまで……
清志くんを守ってください。ボク達が裏切れば、居場所がなくなる」
「わかっているよ」
俺は部屋を出た。きっと、黒子は外へ出て人間界で人間として、自由に生きるだろう。
征十郎、お前は【してはいけないこと】をしたのだと思うよ。
黒子は人間だ。鬼として生きていこうとも、俺達のように鬼と悪魔の確執には縛られない。
そして、きっと俺達を解放してくれる。この確執と悪役であり嫌われ者という立場の悲しさから。
だから……手放そう。本当に鬼という存在になり果てる前に。
もういいだろう?黒子という人間に愛してもらっているのだから。
それだけで、悪役の俺達には十分じゃないか。
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