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私×薬
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15分の間、私は悩み抜いた。
悩んで悩んで、出した答えはイエスだ。
だってここで受けても受けなくても私死ぬし。
飢えだろうと変な薬だろうと死ぬのは一緒、それなら一発逆転狙うでしょ!!!
一度席を外していた間式さんに協力する旨を伝えるとにっこりと微笑んで丁寧にお礼を言われた。
「こちらの書類に目を通していただいて、サインをお願いいたします。」
書類は契約書だった。
書いてあることは会社からの報酬とか、会社の内部や薬の効果については他言無用、間式からのアンケートや健診に応じること。
サインを書いて、拇印を捺す。
もう戻れない。
「では、参りましょう。」
次に連れてこられたところは真っ白い部屋に真っ白なベッド。
枕元には良く分からない大きな機械。赤や青や緑やらのランプがチカチカ点滅したり、点灯している。
私は手術を受ける患者みたいな服に着替えさせられた。
下着はつけていない。スースーする。
「こちらへどうぞ。」
ベッドに腰掛けると、職員の人に何やらぺたぺたはりつけられる。
頭、顔、胸、お腹、手足。
途中からピッ、ピッ、とあう機械音が聞こえてきたから、心拍計も付けられたんだろう。
「館上さん。こちらがサンプルです。」
ご丁寧にシルバーのトレーに載せられていたのはひとつのアンプルだった。
「ここまで準備させていただいてからこちらの薬の説明をさせていただきます。こちらの目的効果は、人体の活性化です。筋力や神経速度、新陳代謝の増強です。」
「…それができると何がいいんですか?」
「筋ジストロフィーの治療、認知症の改善に有効です。また、美容にも利用可能となります。」
「はあ…」
「効果が出るのは数十分後。それまでは恐らく昏睡状態に陥ります。館上さんの体の状態はモニタリングしておりますので、なにかありましたらすぐ対処いたします。…ですが、万が一のこともございます。」
今まで柔らかく微笑んでいた間式さんがすっ、と真面目な顔をした。
「よろしいですか?」
私は返事の代わりに、アンプルを手に取り中身を飲み込んだ。
この時の私の行動は正しかったのか、今でもわからない。
ただ一つ確かなことは、“私”の人生はここで終わったことだけだ。
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