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アップルへの提案
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放課後、杏樹はいつになく落ち込んだ様子でとぼとぼ歩いていた。
昼休みの事件が再び彼のトラウマを開いてしまったようだ。
こうなった杏樹は徹底的に落ち込んでしまう。
肩を落としたまま沈んでいる幼馴染をどうにかできないか。
伊予は必死に考えた。いつも通りの慰め方で彼は立ち直ってくれるのか不安だ。
悪夢の内容と重なっていじめられたのだ。通常通りではない。
しかもこの最悪のサイクルは何度目だ。杏樹が傷つき伊予が慰める。
こんなことを繰り返していても何も解決しない。
ということで、せめて彼を元気づけられることを言ってみよう。
伊予はそう決心して杏樹の肩に手を置いた。
「杏樹。赤面症がつらいなら治せばいい」
「だって原因わかってねーんだろ…どうやって治せばいいんだよ」
無責任なこと言うな、と頬を膨らまされ言葉に詰まる。
何の考えもなく言ってしまったので、ここからもそれを貫かないと。
「そっその、慣れればいい」
「慣れる?」
「そう。経験を積めばきっと赤くならずに済むよ。赤くなるのは緊張するからであって何度も反復練習をすれば慣れて緊張もあまりしないようになるかと」
伊予の提案に杏樹は足を止め、目を細めてじっと伊予を見上げた。
疑うような視線に晒され伊予のこめかみから一筋の汗が流れる。だが彼はそれでも無表情だった。
しばらく二人の間に沈黙が居残る。だが杏樹の咲き誇る笑顔が生まれた。
「そうだよな!なんでも努力すりゃ絶対かなうよな!そうときまれば特訓だぜ!」
一揆に元気を取り戻した杏樹。
ほっとしながらもなんだか変な流れになってきた。
伊予は自分のしでかした過ちに今更気付いた。
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