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アップルのひらめき
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次の日、二人は仲よく学校までの道のりを並んでたどっていた。
朝弱い杏樹は寝坊が毎日の恒例行事なので、伊予がわざわざ迎えに行って起こしてあげている。
杏樹の両親は海外へ出張中。
仕事に追われる日々だったが、一人で生きていけなさそうな息子を置いていくのにはひどい抵抗があったらしい。
そこでしっかり者の伊予に頭を下げて面倒を見てほしいと言われたのだった。
断る理由もなくまた幼馴染の両親に頼まれては断るものも断れない。
言われずともやるつもりだったが。
とにかく寝ぼけ眼でパンをむしゃむしゃ食べている杏樹の背中を支えながら伊予は学校を目指していた。
気分はまるで出来の悪い子供を持った母親だ。
「うーまだ眠いよー」
「頑張ってよ杏樹。いつまでたってもたどりつけないよ」
「このままいっそどっか散歩いこーぜ。そしたら夢の国にたどりつけるかも」
「どんだけ歩いても現実しかないよ」
くだらないことを話していると、彼らの横を颯爽と自転車が駆けて行った。
驚いた食べかけのパンを口から落としてしまった杏樹の代わりに拾い上げる。
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