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アップルの作戦方向
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「伊予!今後の作戦の方向が定まったぞ!」
杏樹は面の笑みで腕を振り回している。
一方うなだれるように肩を落としている伊予にとっては最悪の流れであった。
あのアベック同士の青春っぷりを直視した彼の思考はすべて一つのものに絞られてしまった。
うやむやに己の失態をごまかそうとしたが、失敗に終わった。
ならば飽きるまで付き合ってやるのが責任というものではないか。
しぶしぶ伊予は体を起こし、ペンでノートに書きなぐっている杏樹を静かに見つめた。
無駄に大きい動作で書き綴る姿はまるでクレヨンを弄ぶ幼稚園児のようで、可愛い。
そこまで思ったところで自分は何を考えているんだ。と信じられない気持で近くにあった壁を殴りつけた。
思いのほか強く殴りすぎた拳を抑えてぷるぷる震える伊予を、杏樹は不思議そうに振り返った。
「なにしてんだ伊予。それよりこれ!テーマはこれだかんな!」
得意げに油性ペンで綴った文字を見せつけてくる。
伊予は目をぬぐいながら文字を音読した。
「…恋人ができた過程を主に訓練…」
「そう!まあこの俺が赤面症を告白したんなら女の子にもモッテモテにちがいねえから!予習しといても損はねえと思うんだなー!もちろん、練習相手はお前だ!」
絶望だ。
絶望に伊予はとうとう顔をおさえてうちひしがれた。
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