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アップルはめげません
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「うー…」
「杏樹、そう気を落とさないで」
次の日肩を落としてとぼとぼ歩いている杏樹にそっと慰めの言葉をかけた。
あれから何度も手を繋ごうとしても顔を赤くして伊予を突き飛ばしてしまった。
何度も何度も杏樹に突き飛ばされた伊予がギブアップを申し出るまで続けられたのだが、その間杏樹が赤くならなかったことは一度もない。
「なんで手を繋ぐだけで赤くなるの?」
まさか緊張しているというのだろうか。
杏樹も伊予と同じように彼に触れることに何らかの意思を感じ取っているのだろうか。
それだったら。
ちょっとだけ心拍数があがった伊予が思い切って深く尋ねようとした。
しかし唐突に杏樹が「ぬああああああ!」と叫んだので口に出すことはできなかった。
「おれはめげねえぞ!!手を繋ぐのはあとまわしな!今日帰ったら早速違う練習だ!」
めげてほしかった。
伊予は心からそう思い、涙で滲みかけた視界を閉じた。
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