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アップルと二人乗り2
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今の体制はというと、伊予が背中を丸めてこいでいる後ろで、杏樹が盛大に立ち上がって全身で風を感じている真っ最中だ。
伊予の肩に手を置いて顔面で風を受け止めている。
ジェットコースターなど絶叫系が大好物の杏樹からすると、タダで味わえるスリルなんだろう。
いつ転ぶかわからないスリルと戦う伊予とは与えられる感情が百八十度違う。
「うおおおお!!これこそ青春!これこそ風になるってことなんだな!達観だぜ!」
もう本来の目的とは違う方向へ走りだしてしまった杏樹に何か言おうとするが、
「もっとこげ!」
と怒られてしまい必死にこぐことに全力を注ぐことにする。
「ふおおおお!!フリーダム!おれたちは自由なんだ!駆けることも!風を浴びることもできるんだ!これこそ自由だよなああああああ!」
奇声を発してはしゃぎまわるせいで自転車が不安定にふらふら揺れる。
転ばないように懸命な操作を試みるが、伊予にも限界はある。
ぜぇぜぇと息を荒くしていると目の前に坂が現れて盛大に絶望した。
肩を落としたかったが杏樹が押さえつけているのでろくに動かすこともできない。
自分があわれで仕方がなかった。
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