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アップルとキス2
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「んーキスってやっぱり緊張するのかなーとっとと済ませちまおうぜ」
性に関しての知識が鈍い杏樹が気楽にくつろいでいるが、反面伊予の精神状態はとても危うい状態に立たされている。
キス?唇をくっつけろというのか。ただの幼馴染と異性にする行いをしろと。
杏樹が男だから厭だというのではない。
杏樹が女であろうが男であろうが中性であろうがこの欲望は抑えきれなかった。やがて爆発するもの。今じゃなくてもいいはずだ。杏樹が成長するまでまだ待てるつもりだった。待つつもりだった。
急に点火スイッチを押されてしまった。
「伊予?どした?顔色悪いというか真っ青つーか死人みてえだぞ」
「………大丈夫じゃないかも」
震えるながら囁いた伊予に、心配そうな顔をする。
お気楽な杏樹でも伊予の体調の急変に不安を抱く。いつもは少し風邪をひいていようが無表情を貫く彼にとってこのように感情を表に出すのは異常事態ともいえる。
顔を覗き込んで伊予を案ずる杏樹の髪の毛からシャンプーの香りが香ってきた。
近くにある幼い相貌。潤った唇にしかもう目がいかない。香りすら伊予を惑わせる芳香となる。
やわらかいんだろうか。どれほど甘い感触が吐息とともに流れてくるんだろう。
円らな瞳が戸惑ったように傾げられる。動かないで。その些細な、指先の動き一つで自分の中の天秤は簡単に変化を下す。
理性と欲望。辛い連鎖が体内を駆け巡り意識をも失わそうとする。まだ幼馴染ごっこがしたいなら、突き飛ばしでも甘美な誘いを否定するべきだった。できなかったのは、自分の弱さだ。
吸いよせられる。誘惑に、思春期の伊予が勝てるわけがなかった。
軽いキスで済まそうとしていた自分を殴りとばし、気づけば胸倉をつかんで強引に唇を奪っていた。
驚くほど馬鹿な自分の、乱暴な口づけだった。
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