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アップルとの距離
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あの事件から二日がたった。
伊予としては一刻も早く杏樹と話がしたい。
だが話をしたところで本音を言うと我慢できなかったというしょうもない理由なので、会話をすればさらに溝が濃くなる可能性がある。
そうなってしまえば、もう耐えることは不可能だ。
だから強くひきとめられないし声もかけられない。
杏樹はというと伊予に対してあからさまなほど不信感を募らせている。
どう考えても訓練以外の思いをぶつけてきた伊予を怖がっているようにしか思えない。
だが杏樹も杏樹でこの気まずい関係をどうにかしたいとは願っている。
杏樹からはどう考えても提案しづらい。伊予からも言い出しづらい。
糸はあまりにも複雑になってしまった。
修復はどちらかが歩み寄らなければ始まりもしない。
まだ中学生の彼らにそれを求めるのはあまりのも酷な話だ。彼らは今から大人になる準備をしている不安定な時期に、つらい状況下にいる。
こんなにも近いのに、なぜ遠いんだろう。
隣の席で他の生徒と喋っている杏樹を、伊予は悲しそうな顔で見つめた。
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