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「俺が勝ったら、ゆーまを許してくれるんだよね?」
彼はだんだんと表情を変えていく
青かった目は赤色になり
目は先ほどの緩やかなものとは違い鋭くなる
いきなり風が切る
ビュンッという音を立て一瞬何が起こったかわからなかった
ただ、目の前にいたトトが消えていた。
俺の後ろでバタバタと倒れていく音が聞こえる
驚き後ろを振り向くと周りにいた不良たちが全員倒れていた
ーーー箕輪さんただ一人を残して。
彼はその光景に思わず座り込んでしまった
呆然とする彼の後ろからふわりと抱きしめるように華奢な体が覆いかぶさる
細くきれいな指が彼の首に手をかける。
「はい、俺の勝ち」
彼の首にある手がどんどん力が加えられていく
「……や、やめろっっ…!」
必死に抵抗するがその度に力が強くなっていく
「苦しい?じゃあ、降参する??」
「…くっ……は……っ……ぁ…」
「ねぇ、聞いてる??」
力強く彼の首をしめているため声が出せないらしい
口元から涎がこぼれトトの手を握る手は力をなくし痙攣するように震えていた。
それに気づいた俺は急いで2人のもとに走る
「やめろっ!トト!!」
「なんで?だってこいつ、まだゆーまを許すって言ってない」
駆け寄り彼の手を掴むが彼の力が弱まることはなかった
「だったらその手を離せ。それじゃあ声が出せないだろっ…!」
「あ、そっか」
そう言うと彼はあっさりと手を離す
「ゲホッゲホッ…!!」
咳き込みながら箕輪さんは手をついた。片手は喉を触る。首を締めた後はくっきりと赤く変色していた
トトは彼の前髪を掴む。グイッと顔をあげさせてトトと目線を合わせさせる
「これ、俺の勝ちでいいんだよね?」
そう言うと箕輪さんは掠れる小さな声で答えた
その顔は血の気がなく青白い
「…あぁ、お前の…勝ちだ。これからお前たちとも関わらない…だから…許してくれ…」
「"許してくれ"?変なの、許しを請いてるのはこっちなのに」
トトは彼の前髪を離す
「ゆーまー。あいつらの許しも貰ったことだし、かーえーろー♪」
俺の腕に自らの腕を絡め無邪気に笑う少年は先程の恐ろしい顔と違った
俺の腕を引きながら鼻歌を歌うその姿は、自分の家に早く帰りたがる純粋な少年のよう
ーーー今回のことで十分に理解した
こいつは簡単に縛ることのできない人形だということを
「ンーンンーンーーンー♪ンーンー…
(俺だけでこいつの暴走を止められるのだろうか…)
帰りはそんな事ばかりを考えていた。隣にいる問題の彼は先ほどから鼻歌しか歌っていない
ンーンンーンーーンー♪」
(もし、今後人を殺すことがあったら…俺は、どうすればいい…)
だから俺は気づいていない
「あーーー。楽しかった」
鼻歌の途中、トトがそんな事を満足気に呟いていたなんて
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