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つい拍子抜けした声が出てしまった。
この人は今なんて言った?
「あの…突然すぎてよく分からないんですけど…
それってどうゆう意味ですか?」
「そうだよな。まぁ率直に言うとこれは勧誘なんだが…
堺くんはトトくんの暴走を1人で止めることはできるかい?」
「!!」
「今までにいくつか見てきたんじゃないのか。彼が歪んだ行動をとる場面を」
そう言われた瞬間、俺は郷田の件と箕輪さんの件を思い出す
正直、1人でどうすることもできなかった。
そんなことを指摘されて何も言えなくなる
「俺のいる学校はね、そんな人形たちを収容する場所なんだ。」
「人形たちを…収容?」
「うん、簡単に言うとね。
目的は彼らの被害者を出さないために作られた人形のための学校
トトくん以外にもドールとオーナーがいてね、そのほとんどがこの学校に在学している」
「ドールと…オーナー?」
「俺たちは人形のことをdoll(ドール)。人形を目覚めさせた人間のことをowner(オーナー)という。だから彼らは命を吹きかけてくれたオーナーに忠誠を尽くす」
スラスラと言う浅見さんについていけない
俺たちの他にも人形がいるのか?
「トトくんは君のことをオーナーとして扱っているみたいだ。だから君とトトくんを学校に招待したいと思う」
「でも俺そんな事をいきなり言われても…」
「分かっている。今日はそれを言うためだけに来たんだ
でも…これだけは分かってほしい。彼の暴走は今の君の環境だと止めることは難しい
だからこれ以上被害者を増やしたくなければ、俺たちのいる環境の整った学校に入ってほしい
入学費とかお金のことは心配しなくていい。それらは全て俺たちが負担する」
「だから考えてみてくれ」と浅見さんは俺の肩に手を置いてその場から去ろうとする
「あ。そうだ
答えが出るまでの1〜2日、俺がトトくんを預かっておこうか?一度1人でじっくりと考えてみたほうがいいだろう。その方が早く答えが出る」
浅見さんはドアを前に振り向きそんなことを言った
「お前、何言ってるの?」
初めてトトが彼に口を開いた。その声は低くイラついている
でも考える期間、俺にとってトトを完全に監視することはできない。それならドールに慣れた浅見さんと一緒にいたほうが何かと心強いし1人でじっくりと考えられる
今後のためにも、トトを受け入れたからにはこの件について真剣に考えるべきだ
「わかりました。
…トト、この人たちの言うとおりにしてくれ。ちゃんと答えが出たら迎えに行くから」
「え…、ゆーま…?」
予想外の言葉にトトは驚き、絶望した顔をしている
「大丈夫。1〜2日だけだから。答えが出たら必ずお前を迎えに行くから」
トトの頭をそっと撫でそう説得すると彼は歯を食いしばり俯いた
いきなりどうしたんだと覗き込むと彼の瞳は涙で潤んでいた。手は力強く握りしめ震えている
(まさか…悲しんでる?)
離れるって言っても1〜2日くらいなのに、なぜかトトの表情はもう二度と会えないくらいの深刻なものになっていた
「まぁ、その表情をするのは無理もない。ドールにとってオーナーと離れることは一番の苦しみだからな
数日間離れるだけでも相当苦しいんだろ」
浅見さんの言葉に驚愕する。そうなのか、もう一度トトを見るとトトは無言で抱きついてきた
ぎゅうっと力強く俺を抱きしめると小さな声で「ゆーま…」と呟く
そんなトトは初めてでどうしたらいいか考える。今のトトはまるで幼い本当の子供みたいだ
安心感を与えればいいのかな?そう思った俺はある事を思いつく
「あの…浅見さん。ちょっと外で待ってもらえますか?少しトトと二人で話をさせてください。」
彼の頭を撫でながら顔だけを浅見さんの方に向けてお願いする
「あぁ、別に構わない。外にある車の中で待っているから話が終わったら来てくれ」
そう言うと2人は教室から出ていって扉を閉める音が聞こえた
シンと静まり返る教室。この空間には俺とトトしかいない
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