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kiss #2 side Y
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冬真から離れると、驚愕の瞳がこちらを見ていた。
言葉が出ないのか言葉にならないのか、冬真はただ小さく『あ......』と、ばかり繰り返していた。
「冬真......ごめん…」
俺が手を差し出すと、冬真はそれを拒否するように俺の手を払って、浴室から出て行った。
「冬真!」
すぐに追いかけようとしたが、鍋を火にかけていたことを思い出し、一旦リビングに戻った。そこには冬真の姿はなく、火を止めた後、次に寝室へと向かった。寝室の扉をノックしようとした時、扉の向こうから、すすり泣く冬真の声が聞こえて来た。
「冬真...」
扉の外から声を掛けると、扉の向こうが急に静かになった。
俺の罪悪感は...もうはち切れんばかりだった...
「ごめん...ごめんな...びっくりしちゃったよな?気持ち悪かったよな...ホント...ごめん...俺...ソファーで寝るよ...ブランケットだけ貸してな。風呂...沸けたら入っちゃえよ。風邪引かない様に...温かくして寝るんだぞ。だけどさ...お前にキスしたいと思った気持ちに...嘘はないから...」
寝室からは何の反応もなかった。
大切にしたかった。
笑顔を守りたかった。
.
幸せにしたかった。
絶対的に俺が悪い。冬真の気持ちを確認せずに、自分の欲望のまま突っ走ったんだから...
俺ってサイテー
もう...おしまい...
一緒にいてあげられなくて...ごめんね.....冬真…
ソファーに横になり、ブランケットを頭から被った。
そして…涙を流した...
頬に何かが当たる...徐々に意識が覚醒していく...
窓の外が、ほんの少しだけ明るかった。
夜が明けたんだ...いつの間にか...寝ちゃったんだ...
「う...ん.....?」
「葉祐君...葉祐君...」
完全に覚醒すると、冬真が俺を覗き込んで、俺の頬を撫でていた。
「と...冬真...?」
「葉祐君...起きて...早く...」
「う...うん.....」
冬真は俺の腕を引っ張って、ウッドデッキのそばまで連れて行き、そこで座らせた。そして、窓を開けて、ウッドデッキに何かを置いた。それから、また室内に戻り、窓を閉め、俺の隣に座った。
「うつ伏せになって、外...見ていて...」
冬真は笑顔で言った。その笑顔だけ見ていると、昨日のことが夢だったんじゃないかと思ってしまう。だが、冬真の少し赤く腫れた目を見ると、それが嫌でも現実だと痛感する。言われるがまま、外を見ていると、向こうから小さい何かが来るのが見えた。
「えっ?リス?」
「うん。」
向こうからやって来たのは、二匹のリスだった。
「かわいいでしょ?毎日来るんだ...だから...こうしてリス用のペレットを少しだけ点々と蒔いておくの...ちゃんと探して食べるんだよ...」
「うん...かわいい.....」
二人でしばらくリスを見ていた。リスが森の方へ帰っていくと、俺は冬真の方へ向いた。
「なぁ...冬真...昨日は...」
そこまで言うと、冬真は自身の指先を俺の唇に当てた。
「キス......初めてだったんだ......突然のことで...ビックリしたけど...嫌じゃなかったよ。なのに...葉祐君は...謝ってばかりで...それが...とても悲しかった...」
「冬真.....」
「出来ることなら...もう一度...謝らないで...キスして欲しい...そう思ってる...葉祐君は...?」
「俺は......出来ることなら...いつだって...お前とキスしたいよ...」
「うん.....」
俺は冬真をそのまま床に寝かせる。俺の右手と冬真の左手、指を絡ませながら手を繋いだ。冬真の瞳を見つめながら言う。
「冬真.....好きだよ....世界で一番...」
「俺も...葉祐君が...世界で一番...好き...」
俺達はもう一度...やり直しのキスをした...
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