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心配される
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「拓真! どうしたんだ!? その傷!! 薬指の!!!」
「え?」
江本は嬉しそうな顔で現れたと思ったら、いきなり真っ青な顔をし、僕の指を指差してきた。
言われたとおり左手の薬指を見ると、小さな切り傷がついていた。
僕でも気づかない僕の体の傷を何故コイツは僕を一目見ただけでわかったのだろう。
ゾワリと悪寒がした。
「大丈夫か!? しっ、死ぬなー!!! 拓真あぁぁッッ!!!!」
「やめろ、大袈裟すぎだ。他の生徒に注目されてしまう」
「大丈夫だ! もう注目されている!」
「尚更騒ぐな。 ...大体、こんな小さな傷など放っておけばすぐに治る」
僕がそう言っても尚、江本は青ざめた顔をしていた。
しつこいな。
こんなのを心配するくらいなら自分のストーカーを控えてもらいたい。
「う、麗しき俺の拓真に傷...傷が......!」
「お前のではない。 というツッコミを僕はあと何回やればいいんだ?」
傷なんかより江本に時間を取られるのが嫌なので、この場から立ち去ろうとすると、江本に腕を掴まれた。
なんだ。
まだ何かあるのか。
「俺、絆創膏持ってるからやるよ!」
「必要ない」
スッパリとそう言うと、江本は眉毛を垂れ下げ、今だ青ざめた顔でこちらを見ていた。
こんな傷で僕が死ぬとでも思っているのだろうか。
江本を落ち着かせるために、仕方なく...本当に仕方なく絆創膏を受け取り、傷に絆創膏を貼り付けた。
「これで満足か」
「よかった! これで拓真が死ななくてすむな!!!」
本当に死ぬと思ってたのかコイツは。
「あ...なんか...左手の薬指にそう巻いて付けてると結婚指輪みたいだな......! 俺は永遠の愛を誓うぞ拓真!」
いつも通りの変態に戻ったので僕は即刻その場から離れた。
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