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問い詰める
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「江本。 落としていたぞ」
「え? あ、拓真! 生徒手帳拾ってくれたのか!! ありがとう! さすが俺の拓真!!」
「...悪い、江本。 ...少し、興味本位で......生徒手帳の中身を見てしまった」
「えっ」
僕が申し訳ないという気持ちを込めて言うと、江本は驚いた表情をした後、少し焦った顔をした。
...ムカつく。
なんだ、僕にあの女を見られて戸惑っているのか。
ならば持ち歩かなければいいというのに。
非常に不愉快だ。
腹が立つ。
「写真...見たのか...?」
「......ああ。...江本、正直に答えろ」
「...な、なんだ?」
「生徒手帳に入れてる写真に映る女は誰だ」
僕がそう聞くと、江本はきょとんとした顔で首を傾げて、僕を見てきた。
こうやって問い詰める行動自体が間違っているとでも言われている気分になった。
ムカつく、ムカつく、ムカつく。
「......えっと...、」
「誤魔化したりなんてしたら殴るぞ。 ......顔面を」
「拓真って遠慮なく俺の顔面殴るよな!? ......拓真なら、気づくと思ったんだけどなぁ」
何をだ。
ずっと前から僕以外に好きな人がいたということか?
それとも、僕は本当は本命ではなく遊びで付きまとっていたということか?
...ダメだ、考えれば考えるほど嫌な方向に考えが転がって行く。
泣きたくなんてないのに涙が滲み出てきた。
僕はこんなにも必死になっているというのに江本はあっけらかんとしているし。
腹立つ。
ムカつく。
なんなんだこいつは。
「......曖昧なことばかり言ってないで、はっきりと言え......浮気してたなら、浮気してたと...!!」
つぅっと頬に一筋の涙が伝った感覚がした。
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