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真実を知る
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一回涙を零したら後は止まらなかった。
人前で泣くだなんて幼稚園のとき以来していなかったのに、涙が溢れて溢れて止まらなかった。
僕は江本に愛されている自信があった。
でもそれは僕がそう思い込んでいるだけであって、江本は僕のことなんて好きでもなんでもなかった。
僕はただの遊び。
遊ばれていたのだ。
そう思うと悔しいという気持ちではなく、悲しいという気持ちで胸がいっぱいになった。
苦しい。
辛い。
「えっ、えっ...!? なっ、なんで泣いて...あっ! た、拓真!! よく見ろ!!」
江本はすごく慌てながら、生徒手帳に入った女の写真を指差した。
やめろ。
もうその女など見たくない。
「ここ! 拓真が写ってるだろ!?」
「へ...?」
江本に言われたとおり、写真をしっかりと見てみると、確かに中央にでかでかといる女の後ろに僕が小さく写っていた。
...気づかなかった。
「こ、これ...拓真を盗撮した記念すべき最初の1枚の写真なんだよ。 盗撮すんの初めてだし、技術がなくてミスってこんなどうでもいい女が真ん中に写っちまったけど、俺としては記念すべき1枚に変わりないからさ、生徒手帳の中入れていたんだ。...まさか、拓真を勘違いさせて不安にしちまうとは思わなかった......ごめん、拓真」
頭をがしがしと掻きながらそう説明する江本。
...浮気ではなかった。
安堵すると僕はその場にへたれこんだ。
「拓真!? どうした!?」
「...よかった......」
「えっ...?」
「浮気してるんだとばかり、思って......悲しかった」
「拓真...」
江本は優しい笑顔を浮かべながら僕の顔に顔を寄せて来た。
僕はそれに答えるかのように目を閉じ...
...るわけがない。
「おい...盗撮した分際でキスできるとでも思っているのか...?」
「むぐぅ!? むがが、むぐぐぐぐぐっぐっ!!(がっ!? 顔面、掴むのやめてっ!!)」
「このまま握りつぶしてやるから、安心していいぞ。 江本」
「むごおおおおおおおお!!!!」
こうして、無事(?)に江本の浮気疑惑は晴れたのだった。
記念すべき初盗撮の写真は僕が責任持って処分させてもらった。
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