アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
閉じ込められる
-
体育館倉庫の中の掃除を少し始めたころ、体育館から声が聞こえてきた。
「あれ? 片瀬と椎名は?」
「もう先帰ったんじゃね? 俺たちも行こうぜ〜。 あ〜早くコンビニで唐揚げ買って食いてぇ〜」
そんな声の後、ガチャンと体育館を施錠する音が聞こえた。
やっぱり。
予想通りだ。
僕たちが体育館倉庫にいることに、僕と片瀬拓真以外の掃除当番である2人は気付かずに体育館の鍵を閉めて出て行く。
密室で2人きりになれたら江本修哉のガードから逃れられ、心置き無く片瀬拓真に悪戯ができるといった寸法だ。
咄嗟に思いついた作戦だったが、こうも簡単に上手くいくとは。
「...お、おい、あの2人...鍵閉めて行かなかったか...?」
「そうみたい...だね...」
あくまでも動揺した演技をしなければ計算してやったことだと片瀬拓真に悟られる。
僕は体育館に閉じ込められた不幸な掃除当番の演技をすることにした。
「...どうしようか...」
「外部に助けを求めるのが先決だろう」
そう言いながら片瀬拓真はポケットに手を突っ込んだ。
しまった。
携帯か...。
咄嗟に思いついた作戦だったため、便利な通信手段があることを計算の内にいれるのを忘れていた。
「...ん? ...??」
片瀬拓真は首を傾げたり、ポケットを何度も何度も確認してから、僕の方を向いて申し訳なさそうに告げた。
「すまない...携帯を教室に置いてきてしまった」
どうやら僕にも運がまわってきたようだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
72 / 224