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「いいね、恋人がいるって」
「...椎名には、いないのか...?」
恋人ネタで弄ろうとしたら、話が方向転換をし、矛先が僕に変わった。
少し驚いたが、普通に答えなくては。
「あはは、僕にはいないよ」
「そうなのか? 女子に人気のようだから、てっきりいるのかと思ったが...」
「人気だなんてそんな...」
少し困った表情をしつつ、返事をする。
片瀬拓真はよくわからないといった表情で首を傾げたが、それ以上そのことについて追求してこなかった。
僕には付き合っている人はいない。
必要ない。
完璧な人間には完璧な恋人がいなくてはいけない。
それに相応しい人物がいない。
だから、僕は作らないだけだ。
欲しいとも思わない。
「椎名はよくできた奴だな」
知ってる。
当たり前だ。
完璧こそがこの僕だ。
「江本にも見習ってもらいたい」
「...え?」
「江本は頭がいいだけでやることなすこと馬鹿なことばかりだからな」
ため息をついて、呆れたように片瀬拓真は言っていた。
...江本修哉はいい加減な人間だと思っていたが、その僕の考えはやはり間違いではなかったようだ。
「それに反して、椎名は偉いな。 ちゃんと努力をして、成績も優秀で生徒会も務め、先生の頼み事も嫌な顔一つせず引き受ける。 校則も破らないしな」
...そんなこと、初めて言われた。
両親に言われたこともない。
一位でなければいくら努力しようとも意味がない。
それが僕の考えだ。
しかし、片瀬拓真は1位である江本修哉よりも2位である僕をすごいと言った。
変な奴だな。
努力しても1位になれない僕に同情でもしているのか?
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