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押し倒す
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「...なんだか、詳しいね?」
「目につくんだ。 あ、勿論、いい意味でな? 椎名は学年でも有名人だからな」
「ふーん。 そう...」
そこまで知られているとは思わなかった。
片瀬拓真が江本修哉以外の他人と話すところなんて滅多に見ないし、いつも一人で本を読むくらいしかしていなかったからな。
「しかし、あまり頑張り過ぎるのもよくないと思う。 根を詰めすぎるなよ。 ときには休憩もしろ。 目にクマがあるぞ」
「えっ」
反射的に自分の目を触るも、鏡がないからそれがわからない。
クマがあるなんて、初めて知った。
労いの言葉をかけられたのも、初めて。
1位じゃないのに褒められたのも初めて。
片瀬拓真をからかっていたはずが、片瀬拓真のペースに飲まれていってしまった。
なんで目の前にいるこいつは、僕とは仲が良い訳ではないのにそんな言葉をかけてくるのだろう。
意味がわからない。
「...君は変な奴だね」
「そうか? 僕は思ったことを率直に言ったまでだ」
「それが変わっているんだよ。 真面目で、素直で......
鈍感で、無防備だ」
そう言いながら、僕は片瀬拓真の胸を強く押し、床に押し倒した。
突然のことで、防御体制がとれなかった片瀬拓真はあっさりと倒れた。
すかさず倒れた片瀬拓真の上に馬乗りになる。
「し、いな...?」
「君はよく僕のことを見ていたらしいけど、他の人と同じで僕の内側にまでは気づけなかった。 誠に残念だよ。 片瀬拓真」
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