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本性を出す
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「拓真!! よかった無事で!!!」
体育館の鍵を持って助けにきてくれた江本は、僕の姿を見るや否や抱きついてきた。
まあ、予想はしていた。
「おい、やめろ」
「あっ、茶髪のイケてるボーイ!」
「...えっとね、僕は椎名悠斗って言うんだ」
「あ、お前椎名って苗字だったのか!」
「よろしくね? 江本くん」
江本は顔をしかめて、悠斗をじろじろと眺めた後、ハッとしたように大声を出した。
「椎名! お前、拓真になんかしてねぇだろうな!?」
何を言ってるんだこいつは。
自己紹介してきた相手にそんな言葉をぶつける江本を見て、僕はため息をついた。
礼儀というものを知らないのか。
悠斗は悠斗でにこにこしてるけど、あれ絶対内心では「こいつブチ殺してぇ」って思ってるぞおい。
「何か...って、何かな?」
「しらばくれるな! 俺の拓真と二人きりの密室になるだなんて...!! ......羨ましい...!!!」
「本音だだ漏れだぞ江本。 あとお前のではない」
「脱出する方法が見つからなかったから、助けを待つ間に少しお話ししていただけだよ。 ねえ? 拓真?」
「ああ、悠斗」
「ゆ、ゆ、ゆう...と...!? 拓真...!!? お互いに名前呼び...だと...!? なんだ!? 密室では一体何が起こってたんだ!? 椎名! 事と場合によっては俺はお前を抹殺する!!!」
悠斗に敵意むき出しで威嚇をする江本。
猿かお前は。
「抹殺だなんて...物騒なことを言うね? まあ、殺るつもりなら、僕が先に江本くんのこと殺すから問題ないけど」
「ころっ...おい! 拓真! コイツめっちゃ口悪いんだけど!?」
「お前よりマシだと思う」
「拓真に裏切られた...もう生きていけない...」
「あはは、そうやって落ち込む姿、実に滑稽だね。 写真撮っていいかな?」
「やめろ!?」
こうして、悠斗は僕と江本の前では優等生ぶるのはやめ、本性を表に出すようになった。
...本性と言うか、ただ江本をいびっているだけだな...。
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