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それがすべて
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俺は独りで生きて行く。
そう決めたはずなのに何故かある場所に向かっている。
…最後に会いたい。
これからは誰にも頼らずに独りで生きて行くから最後に一つだけわがままを許してくれよなぁ神様?
『南山坂病院』
もう何度来たかわからない。
いつも誰にもばれないように来ていたから皆俺がここに来てたなんて知らないだろう。
もう見慣れた入口。
見慣れたナースステーション。
見慣れた廊下。
見慣れた病室。
見慣れた206号室の文字。
見慣れたベッド。
見慣れた…………女性。
見慣れた女性だけどこの人の起きている時は知らない。いや、覚えていない。
声もわからない。性格もわからない。
何もしらない。
ねぇ、、、目を覚まして?
俺はこんなに悩んでるのになんでずっと寝てんだよ…!
母親ってのは子供が悩んでたら正解に導いてやるもんなんだろ…?
あんたは俺の母さんじゃないのかよ!?
「…………目を覚ましてよ。母さん、、、。
ヒック…俺のっこと…名前で…グスッ…友希って…呼んでよ…!
俺の事…抱きしめてよ…!!親の愛ってやつをっ…教えてくれよ……!俺を…救ってくれよ…!!もう…辛いよ。。。」
それがすべてだった。
今まで【僕】に隠れて本当の気持ちを殺してたけどもう抑えれなかった。限界だった。
本当はずっと愛に飢えていた。
幸せ…心からそう叫んでみたかった。
母さんや咲希おばさんとまったりとした日々をおくりたかった。
でもそれはすべて過去形。
もう俺は独り。
でもその生き方が思いつかなかった。
だから俺は向かった。
俺が独りになって俺が終わる場所へ。
「母さん……親孝行できなくてごめんね?
きっと来世でも母さんの子に生まれてきて今までの分の親孝行もするからね。。。
俺を生んでくれてありがとう。
そしてごめんね…。元気なとこ見せたかったなぁ…」
もう、涙は流れることは無いとさっき誓ったのに俺の頬を一筋の涙が流れた。
もうきっと泣く事はないだろう。
だからもう少しだけ
泣いてもいいよね?
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