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あいさつ
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叔父の部屋は一番奥にあって、そこの一角だけフローリングではなく、お座敷になっている。しかもそこだけ襖という和を醸し出している。ハルはずっと俯いたまま俺の服を握って歩いてきた。やはり怖いのだろうか?そりゃあ怖くないはずがない。だってさっきだって知らない人が大勢いたのだから。
「大丈夫か?ハル」
そう言うと小さく頷いた。頭を撫でた後、俺とハルは襖の前に正座し中にいる叔父に声をかけた。
「組頭、ただいま戻りました」
「おう」
中から聞こえるのはいつもの低音で響く声。ハルは身体を硬直させ少し怖がったいた。
「...大丈夫」
ハルに聞こえるか聞こえないかの声で声をかけた後続けた。
「組頭少しお時間いただけますか?」
「なんだ?」
「紹介したいものが居まして」
「分かった。入れ」
「失礼します」
襖をゆっくり開けるとそこには、綺麗な掛け軸と生花、昔から受け継がれてきた屏風があった。大きなガラス戸から見える庭は日本庭園のように大きく美しく光に照らされていた。
「おかえり、ハヤト」
「組頭ただいまです」
「2人の時は組頭じゃなくていい」
「はい、叔父さん」
そう挨拶すると叔父はいつもの定位置に座り、その正面に俺とハルは座った。
「ハヤトの隣に居る子どもが紹介したい奴か?」
「はい」
「そうか......はじめまして」
叔父がそう言うとハルは軽く頭を下げて、怖くないと認識したのか、俺の服から手を離した。
「名前を聞いてもいいか?」
「......ハル」
「そうか。しっかりしてるな、えらいぞ!」
褒められて嬉しかったのか、立ち上がって叔父の隣に駆け寄り、座った。
「はははっ良い子だな、ハル」
叔父は顔のニヤケが酷いままハルの頭を撫でた。撫でられるなり俺のとこへ戻り座って、少しさっきより接近してきた。
「お前に懐いてるんだな」
「はい。俺が助けたようなもんなんで...あのそれで本題なんですが」
「いいぞ、預かってて」
「えっいいんですか?」
「その代わり責任を持って親の代わりになれ」
「あっ」
「大丈夫。もうお前のお母さんから話聞いてるから」
「叔父さん、ありがとうございます!」
挨拶も無事終わり、俺たち極道と1人の少年の共同生活が始まった。
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