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〜ハル視点〜
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目を覚ますと天井があった。重い身体をゆっくり動かした。
隣にケイがいて、ここはケイの部屋だと分かった。
「ハル...大丈夫か?」
「ケイ、俺...俺......」
さっきのことを言おうとする前に涙があふれた。
「もう、ここに...いらんねぇかも、し、れない」
「はっ?なんでそうなんだよ?」
「だって、俺......言いそうになった」
「なんて?」
「......好きだって」
言い終えるとケイは凄く心配そうな表情を浮かべた。
「......言ったら、迷惑...かけるし、気持ち...悪いとか、言われたら......俺、立ち直れないっ」
本当はハヤトに相談出来たら良かったのに、好きになった相手がハヤトだなんて...凄くバツが悪い。けど、こうやって話できるのはきっとケイとユキちゃんが背中を押してくれたおかげ。何を言ってもケイは受け止めてくれた。そんなケイの優しさが心に沁みた。
「......なぁハル」
「な、に...っ?」
「そんな奴やめたら?」
今心の中で感謝していたのに、一気にそれが崩れ落ちた。
「なんで、そんな...言うんだよ!?」
俺が声を張り上げるとケイに抱きしめられた。
「......だって、あいつを想いすぎた結果...お前苦しんでんじゃん」
「ケイ...?」
「俺はお前の苦しんでる姿見たくねぇんだよ?」
強く抱きしめられたその腕は微かに震えていて、ケイの意思が伝わってくる。
「なぁ俺にしない?」
はぁ?
ケイが突然言い出した言葉に耳を疑った。俺はケイを押しのけた。
「ケイ、何言ってんのか分かって」
「分かってる。自分でもわかってる。でもお前を救えるんだったら、それぐらいさせろよ?」
「ちょっと待てよ!ケイにはユキちゃんが」
「ユキがいたって構わない。ハル...俺と付き合ってよ?」
一気に背筋が凍って何も言えなくなった。あんなにユキちゃん一途のケイがそこまでして俺を選ぼうとしてるなんて...そう思うと罪悪感のような重たい何かが心に突き刺さった。
気付いたらケイの顔が近くにあって、ヤバいって思った。
その時だった。
バンっ!!!
襖が勢いよく開かれた。俺もケイも視線だけ送るとそこにいたのは血相を変えたハヤトだった。
ズカズカとハヤトは入ってきて、ケイに1発殴りかかった。
ハヤトの目は怒りに満ち溢れていて俺が多分見えてないのだろう...殴られ飛ばされたケイの胸倉に掴みかかった。
「てめぇ何考えてやがる...?」
「はぁ?その言葉そっくりそのままお返ししますよ〜だっ」
ケイはそういうと唾をハヤトの顔に飛ばした。
「てめぇ...この野郎っ!」
また1発ハヤトは殴った。それを見てられなくて俺は2人の元に駆け寄った。
「......お前にハルの何が分かるってんだよ?」
「あぁ?お前こそ何言ってんだよ?お前にはユキがいんだろうが」
「そんなん知ってる」
「だったら」
「てめぇにハルの何が分かるんだよ!自分のことだけ考えて、ハルの気持ち考えたことあんのか!?」
「それは」
「なんでお前はハルに何にも聞かねぇんだよ!今までチャンスあっただろ!」
ケイがそういうとハヤトは黙り込んで俯いた。俺の方が困らせてるとばっかり思ってたけど、ケイがちゃんと俺のこと見ててくれてたんだと思うと嬉しかった。
「知ってるか?ハルが言いたいことお前に自信持って言えねぇのは、そういう状況作ってるお前のせいなんだよ?」
気付けば、ケイは怒りを抑えていたのが一気に出たのかハヤトが掴んでいた手を、無理矢理離した。
「そんなことも知らねぇでハル傷つけるとか何やってんだ、よぉ!!」
そう強くいうと大きく振りかぶってハヤトを勢いよく殴った。ケイが受けたのよりも痛そうでハヤトの口から血が出ていた。
顔を上げたハヤトはまたケイに殴りかかった。
その時だった。
「はーいっそこまでぇ♡」
何処からか現れたのはユキちゃんだった。拳銃を両手に構えたユキちゃんは2人の額に拳銃向けた。
「ユキ...来んの遅いよ」
「黙ってケイちゃん」
「......はい」
次、口開いたらヤバいだろうな...ケイ。勝手にそう思った。
「確かにケイちゃんの言ってることはあってるからね、はーちゃん」
「えっ......」
「はーちゃんが周りにしか頭働かなかったせいで、ハルちゃん傷ついてんだからね?かなり」
ユキちゃんがそういうとハヤトはユキちゃんの横にいた俺を見つめてきた。今は顔を見ることができなくて、目を逸らした。
ユキちゃんは溜息をついて、拳銃をポケットにしまい込んだ。
「はいはいはい、あとは話せるでしょ?」
俺とハヤトの背中を押しながらそう言って、部屋から追い出された。
「......ハヤト、あのっ」
「......立ち話あんま好きじゃねぇから俺の部屋来ねぇ?」
俺は軽く頷いて、ハヤトの後ろについていった。
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