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「ただいまー」
「おにーちゃん!おかえり!」
弟たちには心配をかけないよう、いつも通りにする。
トテテテ..と小走りに走ってくるので、抱きしめて抱っこする。
可愛いっ!可愛すぎるっ!
俺には、小六の弟とその下にもう1人いる。
2人ともまじ天使ってやつだ。
「今日のご飯何がいい?」
「うーん...カレー!カレー、カレー!」
「はぁ..昨日もカレーだっただろ?」
俺たちの母親と父親は居ない。
だから俺がめんどうを見てる。
「そうだっけ?まぁ、いいや!遊んでくる!」
んーと少し考え込むと諦めたようにいい笑顔で忙しそうに走る。
こういうちょっとアホなところが似ちゃってんだよな...。
「おー、気をつけろよ〜」
「うん!いってきまーす!」
「いってらっしゃい」
俺が小六の時、母親と父親が喧嘩をして離婚した。
仕事のことと俺たちのことで溜まっていたストレスが爆発して、喧嘩になった...らしい。
母は「子供はお前にやる」と言い、泣きながら反抗する弟を連れて父親について行った。
...それが間違えだった。
離婚がきっかけで仕事が上手くいかなくなり、ついには会社をやめた。
家に女を連れ込んではヤリまくり、くさい女の香水の匂いとクソ父親だけが残った。
それが嫌になって、俺が高校に上がった時、家から逃げ出したんだ。
でも、やっぱりお金は必要だった。
それも俺と2人を養えるくらいの。
多くのバイトを掛け持ちした。
『不良博一』
なーんて、名前も付けられてた。
懐かしいなぁ..。
輝かしい黒歴史を振り返っていると制服を軽く引っ張られる。
「ん?おはよう、寛己(ひろみ)よく寝たか?」
「...ねた」
「そうか、良かった。お腹は空いてるか?」
屈んで聞くとまだ少し眠いのか瞼をこすりながら小さく頷く。
「ふふっ...なんか作ってやるからな〜」
「うん...」
嬉しそうに笑うと走ってリビングに行く。
「あー!可愛い!寛己も可愛いっ!」
簡単に言うと寛己は伯父が拾ってきた。
可愛い過ぎて、お持ち帰りしてしまったそうだ。
叔父は離婚を知って唯一、俺たちを助けてくれた。
寛己はあまり口を開かない。
だけど寛己は表情がなんとも言えない可愛いさだ。
マジ天使。
「ほーら!寛己、ホットケーキだぞー!」
そう言って出来立てのホットケーキを持っていくとフォークを持ったまま、眩しい笑顔でこちらを見る。
ふっふっふっ。
寛己が好きな食べ物はホットケーキなんだ。
もぐもぐもぐっ...
急いで食べてる、可愛いなぁ。
「寛己、ホッペにホットケーキのかすついてるぞ」
「...どこ」
「こっちだぞ」
そう言って取ってやると寛己はじっと俺の指を見つめ、口に入れる。
「ふぉっ?!」
一生懸命、指についたかすを取ってる。
可愛いっ..!かすまで食べるなんて..!
「ふふっ...可愛いっー」
可愛いものに目が無いのだ。
...自分で言うがな。
そのとき、不意にインターホンが鳴る。
「誰だろ?」
寛己も不思議な顔をしている。
「ちょっと待っててな?お兄ちゃん見てくるから」
そう言うと寛己はこくこくっと頷く。
急いで玄関へと向かうとインターホンを連打される。
「はいはいはい!!」
うるせぇな!少しは待てよっ!
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