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番外編2:ホワイトデー
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「・・・ト・・・・・・ま・・・」
「ん、んんん・・・」
「カイト様!!」
「ひゃいっ?!」
「やっと起きられましたか。おはようございます」
「お、おはよう・・・」
呆れた顔をして俺を見るこの男は俺の執事兼恋人のルイだ。
そんな顔をしていても格好いいと思うのだがら、真のイケメンは狡い。
「貴方様がこの時間に起こせと仰ったのでしょう?早く起きてください」
「あー・・・うん、ごめん」
そういえばそうだったと考えつつ大きな欠伸をしながらベッドを降りようと床に足をつける。
そしてふと思い出した。
昨日した約束を。
「ルイ、昨日言ったこと守れよ」
「屋敷の中では・・・すみませんが・・・」
「えぇ・・・プレゼントなんだろぉ?」
「・・・・・・・・・」
今日の日付とも関わる約束。
昨日、ルイの謝罪から始まったものだった。
────────────────────
本日の公務が終了し、ルイの淹れてくれた紅茶を飲みながらゆっくりしていた時だった。
ルイが困ったような顔をしながら俺に話しかけてきたのだ。
珍しい事だったため、なにかと構えてルイの話を聞く。
「ど、どうした?」
「あの、申し訳ないのですが明日のホワイトデーの貴方様へのプレゼントがご用意できませんでした。
私も何か手作りのものをと考えていたのですが、ここ最近忙しく・・・申し訳ございません。
ですので、カイト様が欲しいものを直接お聴きして差し上げようと思いまして・・・何か今、欲しいものはございますか?」
「ほ、ほう・・・」
内心そんな事かと思ってしまった。
本当にここ2週間ルイは忙しかった。いや、イコール俺も忙しかったのだが。
2人してバタバタとしていたのだ。
ようやく落ち着いたのが今というわけ。
だから1週間ほど前にホワイトデーの事は諦めていたのだが・・・・・・この状況の中でも何かをしようと考えていてくれた事が嬉しいと思った。
そして同時に忙しすぎて恋人としての時間が全くなかったことも思い出す。
そして思いつく。俺の欲しいもの。して欲しい事。
「じゃあさ、ルイの・・・明日のルイの時間を頂戴」
「・・・はい?」
「今日父さんに最近忙しかった分、明日俺たち2人とも好きな事してていいって言われたじゃん。だから明日久しぶりに一緒にお出かけしよう!」
「は、はい。って、そんな事でよろしいのですか?」
眉間に皺を寄せ俺に詰め寄るルイ。
そんな事って・・・いつからイチャイチャしてないと思ってんの?!
バレンタインデー終わってからだからな?!
「そんな事って言うな!ルイは俺と一緒に居たくねぇの?!」
「いえ、そんな事は・・・寧ろずっと片時も離れる事なく貴方様のお側にいたいですよ」
「うっ・・・///」
何つーことを真顔で言うんだこいつは!!!
いつもいつもいつもいつもそーだ!!
クッソォ。なんかもう嬉しいのと恥ずかしいのとで感情がおかしくなって逆にキレそうだ。
こうなったらルイの困る事を言ってやる。
「明日!一緒に出かけるぞ!」
「はい。もちろんです。楽しみで、、、」
「んで!明日一日、敬語使うの禁止な!!」
「はぁ?!カイト様、それはちょっと・・・」
「ホワイトデーのプレゼント!」
「・・・・・・かしこまりました」
納得いかないと言った顔だ。
しかしプレゼントの手前反論できないのだろう。
してやったりだ。
「じゃ、明日9時に起こしてな!」
「はい・・・」
────────────────────
という事で今日はルイとお出かけです。
ベッドに座ったままルイを見上げて腕を広げる。
「んで?ほら、まず朝の挨拶からやりなおし!おはよ!」
「・・・・・・おはよ」
ルイも軽く腕を広げ俺を抱きしめ、頬にキスをくれた。
そして軽く引っ張られ、立ち上がらせてくれる。
俺からもお礼の意味を込めて頬にキスをした。
「ありがとっ!」
「はいはい。早く着替えて朝食食べに行くぞ」
「はーい」
今日は街にプライベートで出かけるので、普段着ているようなフォーマルなものではなくラフな格好をする。
着替えて部屋から出るとルイが待ってくれていた。
しかしルイはいつもと同じ黒燕尾だ。
「ルイ、今日はラフな格好してよ」
「・・・まぁ、うん。そうですね。屋敷出る直前に着替える」
「うん!楽しみ〜」
まだちょっと敬語が抜けきっていないが、実はこのチグハグな言葉も好きだったりする。
食堂に着くとルイは朝食の準備に取りかかってしまった。
この分だとルイはもう朝食を食べ終わってしまっているのだろう。
つまらない、とブスくれていたら食堂の入り口からクスクスと笑い声が聞こえた。
「おはよ・・・なんだよ、母さん。父さんまで・・・」
「ふふふっ、おはよう。いやぁ、ルイのこと本当に好きねぇ」
「わ、悪りぃかよ!」
「いやいや、そんな事はないぞ。なに?今日は出かけるのか?」
「うん!ルイとお出かけ〜!」
「そう、よかったじゃない!楽しんできなさいね」
席に父さんと母さんが座ると同時に俺たち三人の目の前に出されるスープのお皿。
どうやら父さんと母さんも今から朝食を食べるようだ。
ここ最近で感じられなかった優雅な時間が流れている気がする。
しかし、ここであれ?と思う。父さんと母さんを見ていると違和感が・・・なんだ?
何かが足りないような。そう思ったところで大きな音を立てて食堂の扉が開く。
「奥様!!」
「旦那様!!」
「あら、おはよう!」
「おお、起きたか。もっとゆっくりしていれば良いのに」
「目覚まし時計のアラームを切るなんてお2人揃ってなにをなさるんですかっ?!」
「そうですよ!只今食事の支度を致しますのでもう少々お待ちくだ」
「いやいや、今日くらいゆっくりして貰おうと思ってした事なんだから」
「ええ、たまにはゆっくりしてちょうだい。それにほら、他のみんなが今日はやってくれているから。」
食堂に飛び込んできたのはアランさんと母さんの専属メイドさんであるスミレさんだった。
大ベテラン2人のこんな姿を見たことが無い俺はビックリしすぎて固まってしまう。
しかし流石というか焦ってはいるものの服装、髪型はすでに完璧だ。
そして思う。今日の母さんと父さんに違和感を覚えた原因を。
いつも2人の隣にいるアランさんとスミレさんが居なかったからだ。
「ほらほらアランもスミレさんも一緒に朝食を食べよう。こんなゆっくりできる朝は久し振りなんだから」
「そうよ!昔みたいにに4人で食べましょうよ!」
実は父さんと母さんは1ヶ月近く忙しくしていて、こんな風にゆっくり話したのが久し振りだったりする。
やっと我が家全員がゆっくりできるのが今日というわけだ。
だってアランさんとスミレさんならアラームなしでも起きられる筈なのだ。
相当疲れていたのだろう。
それに気づき行動した父さんと母さんは流石だなと思う。
目の前に納得いかない。という顔をしたアランさんとスミレさんが座る。
いつも大人な落ち着いた雰囲気を出す2人がぶすくれているのが新鮮で思わず見てしまう。
運ばれて来たスープを2人が食べているのを見て、そういえば2人が何かを食べているところを見たのも初めてかもしれないと思った。
バレないように2人を観察しつつ食事を進めているとメインをルイが運んできてくれたのだが、何処か気まずそうだ。
先程から何も話さない。
「ルイ?」
「・・・どうかなさいましたか?」
あぁ、そういう。
父さんたちがいる手前、敬語を抜かせないのだろう。
別に今更誰も何とも思わないのに。
真面目すぎるのも考えものだ。
「ルイ、敬語」
「しかしですね・・・」
「プレゼント」
「・・・・・・」
困った顔をして俺を見つめるルイ。
クッソォ。その顔弱いんだよ。
2人で目線だけで言い合いをしていると前方からまたもやクスクスという笑い声が。
「ちょっと!母さん、アランさんたちまで!!コッチは必死なんだけど?!」
「ふふっ!・・・ごめんなさいね、仲良しねぇ」
「ルイ、別に今更だろう。それに今日くらい好きにしていなさいと言ったはずだろう?」
「しかし・・・」
「今日は私たちも朝からこんな状態ですし、ルイも息抜きしなさい」
「そうそう。あと、主人を喜ばせ楽しませるのも執事の重要な仕事だぞ」
「・・・・・・はい」
今の少ない俺たちの会話で全てを察した両親たちは楽しそうだ。
そして、アランさんとスミレさんにまで説得させられてしまったルイは諦めたようだ。
しかし極力話したくはないのか俺が話しかけない限り何も言ってはこなかった。
「ごちそうさまでした!今日も美味しかった!!」
キッチンからシェフがちょうど顔を出しに食堂まで出てくれたので手を振ると笑顔で振り返してくれた。
椅子から立ち上がろうとすると目の前に手が差し出された。
その手を伝い上を向くとルイが優しく微笑んでいた。
「出かける支度しよう。今日、どこに行きたい?」
「え、あ・・・」
格好良すぎて見惚れてしまった。
どうにか手を取り立ち上がるが声が出ない。
吹っ切れたコイツやばすぎる!!
「ふふっ・・・とりあえずヘアセットしに行きましょうか」
「ル、まっ!ちょ」
「はい、行くよ〜。それでは、失礼致します」
腰を抱かれ食堂から連れ出される。
しかしちゃんと父さんたちへの挨拶を忘れずに。
完璧な彼氏様にドキドキが止まらない。
絶対に今、顔が赤い。
「〜〜〜〜っ!!ずるいっ!!」
「なにがぁ?」
「わかってるくせに!!」
「ははっ!可愛いなぁ」
「?!?!」
チュッと軽く贈られた唇へのキス。
普段は廊下でこんな事しない!!
好きにして良いとは言ったし、敬語を外せとも言った!しかし負けっぱなしな気がして悔しい!
その気持ちを込めて睨みつけたのだが・・・
「可愛いだけだって」
全く効かなかった。
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