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花言葉とキズ
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沢山遊びながら頂上を目指した為に
思いのほか時間が経っていた。
頂上は空に近くて真っ青な青が視界いっぱいに映る。
芝生も人工芝なんかじゃなくて青々と葉っぱが茂っていて色んな野花が咲いていた。
陽ちゃんがふと一人で歩き出し、
そちらに向かうと花壇には色とりどりのパンジーが沢山咲いていた。
「あっこれパンジー?」
「…そうパンジー」
「陽ちゃん花好きだもんね」
「へー陽はお花が好きなんだねっ」
「ああ」
「楓磨は花より団子タイプだよね」
「何自分は僕と違ってお淑やかです〜ていいたいの?」
と俺達がまたギャーギャー言い合っていると珍しく龍が話した。
「陽は…花言葉?も、わかるのか?」
「わかるものはわかるかな」
「へえー!陽すっごーーい!これは?パンジーは?」
「花言葉って沢山あって、一つだけじゃないんだけど代表するパンジーの花言葉は《もの思い》、《私を思って》」
「…なんか恋してる女の子が浮かんできた」
「それは花より団子なら花のお淑やかなハル君のイメージのセリフぅ〜?」
「うるさいよ!…ねえ陽ちゃん、色によっても違うんだよね?花言葉」
「ああ、青は確か「思慮深い」だったかな」
「へえー濃いいもんね、この青。鮮やかな紺色って感じ。綺麗」
「…ハルは青のパンジーが気に入った?」
「うん、陽ちゃんみたいに綺麗な青」
「俺?ふふっありがとう」
「ねえねえ!黄色は?」
「黄色は「つつましい幸せ」だ」
「じゃあ最後にー白!」
「白は…「温順」」
「陽ってほんとに好きなんだねぇーお花!そんな優しい顔する陽始めてみたよ、僕!」
「…そう?」
「なんか陽の花言葉の講座があったら退屈しないかも!」
「楓磨は五分ももたないよ」
「俺も…ハルに…同意だ」
「えっ龍まで?!」
「陽ちゃん、パンジーの前で皆で写真とらない?」
「そうだな。」
「皆となら大丈夫そ?」
「ああ、悪いな気使わせて」
「ううん」
「…さっきのパンジー…青のパンジーは外国では《You occupy my thoughts》で《あなたのことで頭がいっぱい》て言うんだ」
「…そうなんだ」
「だからハルが想像した恋をしてる女の子みたいな花…女の子だけじゃなくて、人間みんな………。大切な人ができたら頭の中いっぱいにその人が浮かんでくる」
淡々と話す陽ちゃんの横顔はとっても優しい顔をしながらもどことなく悲しげな目をしていて…
猫っ毛の髪をふわふわと揺らしながら陽ちゃんの頬を撫でるように風が柔らかく吹いた
――陽ちゃんの忘れられない人…大切な人
「うん、綺麗な花だね」
「…ハルもいつかそんな人ができたら、俺に紹介しろよな」
「…うん、そうだね」
そうだね、いつか陽ちゃんに紹介できたらいいな
陽ちゃんの頭の中を埋める人――
それはきっと昔も今もきっとこの先も新しく誰かを思った人と出会ったとしても彼女を消すことはないんだろう。
さっき陽ちゃんが言った
『大切な人ができたら頭の中いっぱいにその人が浮かんでくる』て言葉はきっと過去の彼女へ向けて言っているんだろう。
自分が女の子とか男とかだったらの前に、俺は陽ちゃんの中にいる彼女を越すことは出来ない。
過去にあったことも触れることさえままならないんだから
そう思いながら遠くからパンジーを眺める少し悲しげな陽ちゃんの横顔を見つめていた
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