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星空と体温_2
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「…ハルこんなところで寝てる」
ハルを見つけほっと落ち着く陽。
最近ハルが良くなんとも言えないような表情をするときがある。
笑っているけど泣いているようなそんな曖昧な弱々しい笑顔が増えた。
ひとり考える時はいつもなら百面相をするのに、最近はどこか遠くばかり見ていて何を考えているのかがわからない。
毎日毎日家族の心配ばかりで自分の心配を全くしないハルだから俺にはわがままを零してくれたら少しはガス抜きになるんじゃないかって思うけど、そんなハルのわがままはたまにへそを曲げるか俺に冗談で下ネタ混じりなことを言ってくるかくらいで特にこいつの支えにもなれてやってない。
そう考えながら、
俺もハルの前に腰をおろす。
体育座りをしながら気持ちよさそうに寝ているハルの髪を撫でる。
俺の猫っ毛とは違くてサラサラと流れる様な気持ちよさはさっきまで皆と遊んだ川のゆっくりと流れる水のようだった。
陽に光るとハルの髪はもっと色素が薄まりキラキラとしていてハチミツ色のように綺麗に輝く。
ハルの瞳も同じようにいつもキラキラとハルの心が丸見えのようにその純粋さを見せていた。俺とは全く違う綺麗なハルが好きだ。
そう思うと自然と俺の顔が緩んでいるのに気づく。
黙っているととっつきにくいと思われやすいのを知ってるから、人とうまく話せるように笑顔は覚えた。
もともと人は好きだし話を聞くのも好きだ。
だけど人よりも花とか星とかそういう自然もピアノも好きだから人と関わるよりも自然と一人の時間が増える。
だけどそんな俺をいつも暖かい心からの笑顔で外に連れ出してくれたのはこいつだったな、て思いながらその寝ているほっぺたをムニっとつまむと「んん〜」なんて不機嫌な声が聞こえる。
ハルの体温は俺よりもポカポカとしていて暖かい。
ふと顔のしたに引いてある手を見ると絆創膏が貼ってあった。
「…また怪我したのか」
そう自然と口から漏れる。
気づくといつもどこかしこに傷を作ってヘラヘラと笑っては飛びついてくる昔のハルを思い出した。
ハルはいつだって真っ直ぐだ。
真っ直ぐで純粋で暖かくて人の幸せばかり考える。
だから傷つくことも多い。
ハルも人間だから知らず知らずに誰かを傷つけてることもあるだろうけど
それでもハルは傷つくことと傷つけることを選ばされたなら迷わず傷つけられて、一人その傷が治るまで塞ぎ込んでは笑顔で誤魔化すだろう。
だからそんなハルにいつも思う。
例え、傷は治ったとしても深く深く大きくつけられた傷は治った後も跡になって残る
そしてふとした時にハルの心をきっと傷つけて痛みを与える
だからこそ、少しは自分で自分を守って欲しいけどそれを言うのはハルの根本的な性格全てを真っ向から直させるようなものだから
ハルの傷が深くならないように
ハルに傷がつかないように
ハルに綺麗なままでいてもらえるように
その純真な目を濁らせたくないから俺は
「俺はお前を守りたいよ、ハル」
俺の声は寝ているハルに届くことはなくてスヤスヤと寝ている
そろそろ起こすか…
「ハル…起きろ…ハル!ハル起きないと噛むよ?」
そう耳元でいうとガバッとハルが顔をあげてきょろきょろと周りを見渡す。
「…あれえ…よーちゃ…ん」
「寝ぼけてんな〜」
「ここ…どこ…」
「…森?」
「…もり」
「…森で寝てたらクマに食われるぞ。ほら、おいで」
そう言って手を差し延べると嬉しそうにニンマリとした笑顔で俺の手を取る
「よーちゃんの…手は…俺より少し冷たいね」
「…そーか?」
なんて言いながらも俺よりも少し体温の高いコイツの手の温度に安心してぎゅうっと繋ぎ返す。
そうすると後ろからクスクスと笑い声が聞こえて「陽ちゃんの手大好き」と、聞こえるから俺はまた「そうか」と一言返した。
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