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旅行
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夏休みに入りバイト漬けだったけど
今日は楽しみにしていた旅行だったからか昨日はなかなか寝付けれなかった
陽ちゃんと一緒に待ち合わせの駅に向かう
俺のクマを見て「…また寝れなかったの?」と心配そうにのぞき込む陽ちゃんにこれは楽しみの証みたいなものだから心配しないでと答えると、ふふっと優しい笑顔で笑われた
駅に着くと既に龍と楓磨がいた
四人で久しぶりだねと挨拶をして新幹線へ乗り込む
新幹線の中では早起きだったのか皆少しすると寝てしまって気づいた時にはもう目的の駅だった
「駅からはおじさん迎えに来てくれるらしいから!」
そう聞いてたとおり駅についたら
約束の時間よりも早く来ていてくれたのかもう迎に来てくれていた。
楓磨のおじさんはとても優しげな目をした人で、楓磨のこんなお願いは初めてだからとても嬉しいとニコニコと笑いながら話している
その隣で楓磨はべらべらと話されるのが恥ずかしいのかそっぽを向いてはおじさんにトゲトゲした返事ばかり返していた
おじさんが下ろしてくれたペンションはとても綺麗で自然とテンションが上がった
自分達で自炊してもいいし好きなように使ってくれと言い残しおじさんは車で5分程の先にあるキャンプ場へと戻っていった
一通りあたりの地図を見ると
周りには川も山もあって
陽ちゃんの好きなお花畑や、
少し先には龍が、好きそうな体を動かす施設もあったりとどこもかしこも楽しそうな場所ばかりだ
夕飯は皆でバーベキューをすることになって、まずは昼飯がてら少し先の市街でお昼をとった。
お昼を食べた後は夜のバーベキューと明日の朝と、昼の買い出しを済ませてコテージに戻り、
それからは陽ちゃんが行きたがっていたお花が綺麗に咲き誇る公園で皆で散歩をしてそのまま川へと足を運んだ
川は奥へ行かない限りそこまで深くも流れも早くなく
皆で川の中にはいって魚を捕まえたり
苔の生えた石に滑り転げた俺を馬鹿にする楓磨を投げたりとか日が暮れるまで散々遊び尽くした
日が暮れる頃にはすっかり全身濡れており
それはとても水を吸って重いから上だけ脱いで帰る方が楽かなってことでそれぞれ脱いで帰ることにして
陽ちゃんも俺達といて気が緩んでいたのか上を脱いでいて、そのことに気づいたのは楓磨のあげた声でだった
「…えっ陽ちゃん、その傷」
「えっ…?…………あっ…」
「………言いにくいことなら、言わなくていいからね…!」
無理に笑いこの話をなんとか誤魔化そうとする楓磨に陽ちゃんは困ったように眉を下げて笑う
そうして暫く自分の手で傷跡を触れていた陽ちゃんがポツリと口を開く
「大したことないから、歩きながら話すよ」
そう珍しくあまり自分の事を話さない陽ちゃんのその言葉に龍も楓磨も、少し緊張しながら応えていた
「そんな緊張しないで聞いて…?ほんとくだらない理由だから」
「うん、わかった」
「んーどこから話すかなー」
上を見上げ昔の記憶をたぐり寄せる様に陽ちゃんが考え込み口を開く
「………兄ちゃんと俺二人兄弟なんだけど、俺が2歳の頃に両親事故で死んでるんだよね。」
「……えっ」
そう声を漏らす楓磨の表情はとても痛々しく悲痛な顔をしていた
「…それで、俺はまだ小さい時だったからそのことを知らないまま、今俺達兄弟を育ててくれてる父さんの家で暮らしてて…父さんも俺に秘密にしてたから俺は本当の両親がなくなってること知らなかったんだよ」
そこまで話すと陽ちゃんは一度深呼吸をした
深く息を吸って吐き出すとまた話し出す
「それである時写真を見つけちゃってね、この人はだあれ?て俺まだそうゆうものの判別もできなくてさ、父さんの気持ち考えずにそんなことを聞いちゃったんだよね、本当の両親に抱かれた俺の写真持って」
初めて陽ちゃんの家の事について聞くふたりは静かにその話を聞いていた
「…で、それから暫くしてかな?酔うとさ俺に本当の両親と俺どっちが好きかって良く父さんが聞くようになって、俺まだ5歳とかで父さんの抱えてるモノ知らないでどっちも好きとか言っちゃって。」
そう話す陽ちゃんは夕日に照らされながら悲しそうに目を細める
「……そう答えると『不正解だ』ってタバコの火俺の体で消したのかな…確かそれが始まり、それからは父さんの気分で何を答えても何をしても暴力で、でも本当にちゃんと俺達兄弟の事真剣に愛してくれてるのはわかるから嫌いにもなれなくて、元を辿れば俺がこの怪我の発端作ったわけだから。」
「だから…高校は行かないで働こうかなって思ってた、家出て。そしたら俺はちょうど長い間出張で家にいないからお前はここで兄貴と暮らしてしっかり高校は行けって、そう言って今はもう何もされてない。父さんも嫌でも俺を見ると感情的になるの知ってるからお互い寄り添わないし、だからどうってことないんだけど一々人に話す事じゃないから聞かれないように一人で着替えてたんだ」
そう最後まで話し終える陽ちゃんに楓磨が駆け寄り抱きついた
そのままで黙ったままの楓磨が何度となく陽ちゃんの背中撫でる
「痛かったよね…そんな小さな体で沢山怖かったよね…………陽、話してくれてありがと…」
そういう楓磨の目には涙が溜まっていて
陽ちゃんはそんな楓磨の顔を見てびっくりしていた
そんな陽ちゃんを見た龍も
陽ちゃんの元へいってあまり喋ることのない龍が話し出す
それは静かに、ゆっくりと、だけどとても暖かく聞いていて胸がじんわりするようなそんな音色で陽ちゃんへ話しかけていた
「……陽、びっくりする事じゃない………友達が、大切な人が…悲しい思いをした…それを知ったら…俺達は同じ気持ちを知れないけど………陽の痛みを…考えると涙は出る…悔しい…とも思う………。
大したことないって言った……でもそれは違う…泣いていい………本当に苦しい時は泣いていい…これからは一人じゃない…俺達も昔からいるハルも…これからも陽のそばにいる…だから悲しい事を誤魔化して心を…見ないふりしたらだめだ………何よりもそう痛くないフリをする陽を見るのは…凄く悲しいから…」
そこまで話すと龍は眉をはの字にしながら俯いてしまう
そんな龍と楓磨に向かって陽ちゃんもまた口を開く
「……話、聞いてくれてありがとう。今は本当に2人とハルといれてすごい幸せだよ……そう言ってくれてる人がそばにいるのって何かくすぐったいね」
そう言い少し困ったようにだけど嬉しそうに複雑な心境な顔をしてるけど、でも確かにその目は柔らかい光で溢れていた
それからの帰りはこれからは陽は僕が守る!なんていう楓磨に俺もと龍がいい、それは元は俺の役目だから!なんて言い出す俺達を見て
クスクスとくすぐったそうに陽ちゃんは笑っていた。
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