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旅行
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そんな星空に気を取られていると誰かの携帯の着信音が鳴る
「…あ、悪い」
一言謝りを入れて立つのは陽ちゃんだった
「電話してくる」
そう残し一人席を立つ
残された俺達は今日あった事や
今迄に起きたこと半年も経ってはいないけどそれなりに沢山の思い出があるねと思い出しては笑っていた
◇◇◇◇
着信の相手の名前を見つめたまま固まる
「………はい、もしもし」
『…やあ、久しぶりだね元気にしてたかい?』
「……はい、学校も楽しく通わせてもらってます」
『……んー、父さんに向かって敬語っておかしくない?…ねえ、陽?』
ビクリ、とそう肩を揺らす陽
「…すみ…ごめ、んなさい…父さん」
『うんうん、俺は怒ってるんじゃなくて悲しかっただけだからね、陽。…ああ、早く陽に会いたいよ』
「……俺も…………会いたい」
そう零すその瞳は言葉とは反対に影を落とす
『可愛いね陽……本当に愛してるよ、来週一度家に寄るからその時うんと愛し合おうね』
「……楽しみに、してるね……じゃあお休み父さん」
電話を切る
陽の体がどくどくと血管に血が巡り心臓の音が早い
なのにそれとは対照的に体は指先からどんどん冷えていくのがわかる
数分ぼんやりとどこかに意識を飛ばせていた陽は「………暖めてもらわなきゃ」そう声を漏らすとその青ざめた表情を無理矢理に引き剥がすかのようにしてハル達の元へ戻った
――大丈夫…数日って言った…昔みたいに毎日同じじゃないんだ。数日耐えれば、、、
自分自身に言い聞かせる様に陽は何度もその言葉を繰り返した
ズキズキと痛むその治ったはずの傷跡を痛ませながら
――……傷跡は治らないんだ
そう諦めたかのような表情を一瞬したがその顔は暗闇の中では誰にも見えることはなかった
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