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行けなくなった夏祭り
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うまい言い訳も思いつかず無言を押し通すことに決めた陽はハルの家に戻った
案の定、いや、陽の想像よりも遥かにハルの反応はすごいもので流石の陽も今回ばかりは言い逃れできないかもとそんな不安が脳裏をよぎる
「………陽ちゃん、これどうしたの」
「………」
「黙ってちゃわからないよ」
「言いたくない」
そう一言口を開くとそっぽを向いてしまう陽にハルはため息が溢れた
「…ねえ?陽ちゃん、俺前言ったよね、陽ちゃんが好きだって」
「…うん」
そう答える陽は怒られてるからなのかいつもより弱々しく幼い
「…だから、陽ちゃんが何かされたのが明確なのに何も知らない顔なんてできないよ」
「……でも…ハルには関係ないから…」
「…陽ちゃん、俺何かできることない?」
「………黙ってて、ほしい」
「陽ちゃん…」
どれだけ陽を思い、歩み寄ろうとしてもいつもその数歩先で陽に跳ね返されてしまう
この前のことだって俺のことを見て返事をしてくれなかった…俺じゃなくて昔の傷を思って俺の気持ちを見ないで…
「陽ちゃんはいつもそうだよね」
「え?」
「……俺は陽ちゃんが好きだからどんな事でも絶対に嫌わない。むしろ力になりたい、だけど陽ちゃんはいつだってはぐらかして、隠して、俺を遠ざける。昔も今も。きっとそれはこれからも変わらないんだな、て。」
「………だから、それは…」
「俺のことを好きになると不幸になるから?」
どくん、とした。
言われる前に先にハルに言われてしまい陽はたじろぐ。
「…そうだ。だから、俺の方に来ないで欲しい」
「陽ちゃん、その答えは俺の気持ちを考えた上で答えてくれてるの?それとも昔の傷を経験したから回避する為に言ってるの?」
「…」
「もし後者なら………俺の気持ちは1ミリも伝わってもない。考えてもらえもしないで、こうだからダメなんて…」
「……」
「………俺の事を嫌いだから、嫌だの方がまだよかった」
そこまで言われてしまい、
陽は頭をドンキで殴られた様な衝撃を受けた
「…嫌い…って言えば、ハルは俺を好きじゃなくなるのか…?」
「っ俺の話聞いてた…?そう言う事じゃなくて、陽ちゃんの本当の声を聞きたいって言ってるんだ!」
「……俺の本当の声…?俺の本当の声って、汚くて真っ黒くて人の事傷つけるような言葉を?…そんな声を聞いてどうする…?」
陽の口からは自然とそんな言葉がこぼれていた。
「…陽ちゃん…」
本当はこんなことじゃなくて、
ただハルと仲良くお祭りに行きたかった。
なのになぜこんなことになっているんだろとぼんやり考える。
それと平行して自分の汚さに胸を痛ませた。
もう十分に父さんに犯された俺の体は洗っても洗っても汚くて。
それに――いずれ皆俺の事嫌って離れてくから…
「…皆、俺を好きだって…そう言って近づいてくれても…俺がその気持ちに応えたくて手を伸ばした時にはもう居なかった…だから今回だって…」
「…陽ちゃん、そんなのわからない」
「わからない?」
「だって…俺は俺であって、その陽ちゃんの心の中にいる誰かでも、その傷をつけた誰かでもないよ…!俺はその人達とは違う!」
「…ハル…やめてくれ…」
「そうやって逃げないでよ!今だって本当は何か言葉飲み込んだよね?いつもいつも何かを言おうとして、飲み込んで、そうやって…」
「…黙って…」
そう呟く陽ちゃんの顔は酷く傷ついた顔をしていた
「…無理…俺だって我慢してきたんだ、何を考えてるのかちゃんとその奥に塞ぎ込んでる言葉聞かせてよ…」
ハルの目はまっすぐと陽を見つめている
陽の心の中はぐるぐると真っ黒な何かがせり上がってくるような気持ちの悪い感覚に包まれる、言わなくていい言葉まで口から零してしまいそうで理性でなんとかその感情を抑えていた
だが、この数日散々享に弄ばれた陽の体も心は疲れ傷ついていて陽の感情はグラグラと揺れ動き崩れていく
「…我慢…?俺を好きだったことをか?」
「なっ…そうだよ、陽ちゃんを好きだったこと、諦めようって、何度も抑えつけてきた」
「でもお前は俺にキスした」
「……それは言い訳しない、何をどう言っても、寝ている人に手を出したことに代わりはない」
言い訳をしないハルにイラつきをおぼえる
どうしてそこまで真っ直ぐでいられる。
なんで俺みたいなやつをそんな目で見つめられるんだ
こんなにお前と一緒にいるのに相応しくない俺を、どうしてお前は好きだと言うんだ
――なんで俺はこんなに戸惑っているんだ…
そう思う陽の口調はどんどん荒っぽくなりまるで八つ当たりのようにハルへと返してしまう
「………寝込みを襲ったやつが何を我慢したって?」
「………本当その通りだね…何も…出来てないね、ごめん」
――お願いだからハル、そこで引かないでくれ。お前こそ汚い体をしてって、俺を罵って今すぐこの口を塞いでくれ…っ
そう思う陽の心の声はハルには届かず陽の口からはハルを罵倒する言葉が溢れる
「…お前も、父さん達と変わらない…」
「え?お父さん?」
「俺が好きなんじゃない…ただ、俺で遊びたいだけだ!俺を!好きにして…俺が悪い奴だから…!だから!俺を好きなんじゃなくて俺を玩具にしたいだけだ!!」
「…ちょっと!陽ちゃん?!どうしたの?!」
滅多に声を上げることのない陽が大きな声をあげている事に驚きハルは思わずたじろいでしまう
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