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過去編
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「くりす。あなたは本当に可愛い子ね。お母さんは、くりすがいないと生きていけないわ」
お母さんは僕を抱きしめて頭を撫でる時、必ずそう言った。
お母さんには僕が必要なんだ。
でも、そんなお母さんがおかしくなり始めたのは、父さんが死んでしまってからだった。
「くりす、私これから仕事あるからご飯は一人で食べてちょうだい」
「おかあ…さん?」
「それにあなた、もう中学生なんだから新聞配達くらいしなさいよ」
「……うん。そう、だね」
「じゃ、行ってくるから」
お母さんは、毎晩派手な服を着て、きつい香水をつけて、髪を巻いて、化粧をして、仕事へ行くようになった。
父さんは僕が中学2年生になってすぐ、事故で亡くなった。
それからお母さんは毎日、仕事に出かけることになった。
「……行って、らっしゃい」
もう、今の母に以前の面影は残っていなかった。
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