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知られた
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日も沈みかけた頃、俺達は近くにあった洞窟で休むことにした。
「あー疲れた。もう寝るわ、おやすみ」
「おやすみー」
「おやすみなさい!」
――しばらくしてから、シエラはソラが寝たことを確認して口を開いた。
「私、未熟だけど鋭いのよ。貴方、魔王ね」
「え…」
「ソラはまだ分からないだろうけど、私には分かったの。悪気はないとはいえ、そんなにオーラ出してたら…」
どうしよう、バレた。
でも言う通り、本当に悪気はない。
ただ殺されたくなかった。それだけだ。
「…俺はこいつに退治されるんだ。なにもやってないのに」
「世の中の魔物は貴方が操っているんじゃないの?」
「そんなわけないだろ!ただ親父の跡を継いで魔王になっただけだよ。俺に操る力なんてない」
「じゃあ、どうして退治されるのよ」
だんだん涙が出てきた。
何でバレて、こんなこと聞かれなきゃいけないんだよ。
「そんなの俺が知りたいよ!!魔物に襲われたからって、人間は関係のない魔王の俺を殺そうとする!俺がやったのかどうかも確認せずに殺しに来るんだ!!」
感情的になりすぎたのか、大きい声を出したせいか、はぁ…とため息が出る。
ソラに聞かれてたらどうなるか。
「…わかった、わかったわ。確かに貴方は魔王よ。でも、悪い人じゃない。何もしてないのに殺されるのは屈辱よね」
「………何が言いたい」
「あら、鈍感。貴方に協力してあげるのよ。魔王は怒ったり倒されると第二形態になるって聞いたわ。その状態になるのを防ぐ手助けをしてあげる」
ソラにバレないようにね。
そう呟いてシエラは横になってしまった。
確かに自分をコントロールできなくて、一度だけ第二形態になったことがある。
あのときの自分は…思い出したくないほど残虐で、残酷な生き物だった。
もうあんな姿にはなりたくない。
今の俺は、シエラに少しでも頼るしかなかった。
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