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夏の朝2
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雨が降った。いや、降り続けた。
季節は梅雨だ。
雨は嫌いじゃない。
しとしとしとしとすごく落ち着く。
でも、毎日はいらない。
じめじめと蒸されて空も見えず、そろそろ晴れれば良いなあ、そんな風に思う毎日。
空の見えない手持ちぶさたから、俺は変化をもたらした。ほんのちょっとの出来心。
そーっと近付き、腰をおろしたそこは
毎日見ているお兄さんの隣。
5センチ程離れて座ったがお兄さんは起きる気配もなかった。
いつも斜め前から見ていたお兄さんの初めて見る横顔をなぜだか俺は見つめられなくて。視線はうろうろ。
少し暑そうな七分丈の服からのびる筋ばった腕、血管の薄く浮きでた大きめの手をみて、お兄さんも男なんだな、と当たり前のことを考えて、俺の目に焼き付いたのは、細長く綺麗な指だった。
あれほど斜め前から見続けた俺の視線はなぜかお兄さんの顔を捉えられずに足の上で緩く組まれた両手とその指を見続けた。
視界に入るゆっくりと上下する肩
時々ぴくぴくと動く指
何の夢を見ているんだろう
お兄さん、そこは晴れていますか
そう心のなかで問いかけて、ぴくぴくと動く指に触れようと、吸い込まれるように俺の手がのびかけた。
ピリリリリピリリリリ
はっと顔を上げれば車内に響く誰かの携帯電話の着信音
なにやってんだ、俺、知らないお兄さんの、手を、触ろうと、した。
その自分の行動に驚きを隠せず、自分の手をグーパーグーパーしてみたところで事実は変わらず、戸惑うだけだった。
お兄さんの観察でわかったこと追加
触れたくなるくらいに、とても綺麗な指
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